Microsoft Office Visio 2003を利用すると、さまざまなビジネス図の作成が容易になる。ステンシルと呼ばれる部品の拡張で作図の幅を広げたり、マクロでExcelと連携させることでカスタムプロパティを利用した新しいドキュメントを作成できたりと、一部のIT管理者だけにとどまらないさまざまなユーザーの利用が可能だ。
「Visio」はただのグラフィックスソフトでない。もちろん、ビジネス・グラフィックスを描くのにこれほど強力かつ便利なアプリケーションはないのだが、それだけにとどまらないのがVisioのすごいところだ。今回は、ITプロフェッショナルに役立つ機能をピックアップして解説する。「役立つ」と書いたが、より具体的に「楽ができる」と言い換えてもよい。ネットワーク管理者、Webコンテンツ管理者・制作者、データベース設計者、アプリケーション開発者の方は、ぜひ目を通してほしい。毎日、当たり前のように行っている作業が、Visioによっていかに楽になるかを、ぜひ読み取ってほしい。
前回、Visioのステンシルはアドインで増やしたり、Webサイトで入手できると書いた。まずはその点について、より詳しい情報を提供しておきたい。例えば、Altima Technologiesが販売しているVisioの追加用ステンシル「Net Zoom Stencils」($299)には、市場で流通しているネットワーク製品のステンシルがメーカー別になんと6万点超も収録されている。1本用意しておけば、クオリティの高いネットワーク図を簡単に描けるはずだ。同社Webサイトからはトライアル版も入手可能なので、ぜひ試してみるとよいだろう。また、9月29日に開催される「情報システム部門のためのドキュメント作成・情報管理セミナー」で来場者全員に無償配布される、Visio特製CD-ROM(Visio 2003 Resource Kit for IT Professionals)にも収録されている。ぜひ参加されることをおすすめしたい。
ITプロフェッショナルとは直接の関係はないが、Visio-Car.comでは、国産自動車のシェイプを無料で入手できる。カスタムプロパティに全長・全高などのデータも入力済みだ。車好きはもちろん、自動車関連企業のユーザーは入手しておくと便利だろう。Visioの利用範囲の広さを物語る例とも言える。
なおマイクロソフトによるVisioのWebサイトには、無料で入手できるステンシルの情報が集められているので、Visioを入手したら、ぜひアクセスすることをおすすめする。
Visioで作成できる図面は、WordやExcel、Accessなど他のOffice製品との連携も考慮されている。もちろん、単にデータをコピー&ペーストできるレベルではない。マクロを使ってVisio図面のカスタムプロパティ情報を他のアプリケーションに渡し、加工して新しいドキュメントを自動作成する、といった処理が可能だ。
見積書の作成を考えてみよう。多くの場合は、Excelのシートに商品や単価の一覧を記入して印刷するレベルにとどまっているのではないだろうか。これが、Visioを使えば、顧客に対し製品をビジュアルに提示しながら、あるいは、製品の組み合わせをその場でシミュレーションしながら、同時に見積書を作成することができる。
例えばマクロを利用してネットワーク機器の見積書を作成する場合、ラック図にルータやブリッジ、サーバなどのステンシルをドラッグ&ドロップで配置する。各ステンシルのカスタムプロパティに製品番号や価格情報を入力しておけば、最後にボタンをクリックするだけで、Excel形式で見積書を自動生成できる。これなら、ネットワーク機器の組み合わせをその場で視覚的に確認できるし、価格もすぐに分かる。機器の組み合わせを納得できるまで、繰り返し試すのもたやすい。
このシステムをノートPCに載せて持ち込めば、顧客自身に機器の組み合わせをシミュレーションしてもらえる。ステンシルをドラッグ&ドロップして最後にボタンをクリックするだけだから、たとえ相手がITの知識に乏しくてもまったく問題ないだろう。あるいは、営業マンが機器の組み合わせをその場でシミュレーション&プレゼンし、顧客からの要望に応じてその場で見積書を作成することもできる。Excelだけに頼った従来の見積書作成より、ずっと簡単で魅力的なのは間違いない。
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