買収には絶好の時――Oracle、アプリケーション企業以外も選択肢にOracle OpenWorld London 2004

Oracleのフィリップス社長は、市場で整理統合と景気回復が続いていることを背景に、近いうちに買収契約を結ぶ可能性が高いと話した。しかも、「アプリケーションやサービスの企業に限定しない」考えだ。(IDG)

» 2004年09月08日 16時28分 公開
[IDG Japan]
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 Oracleは、ライバルのエンタープライズソフトメーカーPeopleSoftに対する77億ドル規模の敵対的買収提案を進める一方で、買収の選択肢をさらに拡大する考えだ。Oracleのチャールズ・フィリップス社長が明らかにした。

 フィリップス氏は9月6日、ロンドンで開催のOpenWorldカンファレンスで取材陣に対し、Oracleは常に他社の買収という選択肢を検討しているが、昨年から市場での整理統合が進み、景気回復が続いていることを背景に、近いうちに今後に向けた買収契約を結ぶ可能性は高いと話している。

 「今日のわれわれにとって、買収はずっと意味があることだ」とフィリップス氏。「多くの企業が当社に買収を持ちかけている。そして、多くの企業がその前兆を目にしている。(買収をめぐる)当社の選択肢は増えており、対話を通して取捨選択を続けている」

 フィリップス氏は、買収の時期や候補先については明言しなかった。ただし、6月に開かれた米司法省との独禁法訴訟の公判で、Oracleのラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)が買収ウィッシュリストの2番目に据えていると明かしたCRMソフト企業のSiebel Systemsの名前は挙げている(関連記事参照)

 ウィッシュリストの内容は幅広く、多様性に富んでいるという。「選択肢は、アプリケーションやサービスの企業に限定しないつもりだ」(フィリップス氏)

 またフィリップス氏は、現在は9月10日と定めているPeopleSoft買収提案の期日を再度延長すると示唆している。「何度も何度も延長しているので、9月10日という期限については、あまり深く考えようとしなかった。敵対的買収提案を延長するのは、今ではまったく普通のことだ」と同氏。

 Oracleは先月に買収期限を延長、2003年6月に敵対的買収提案を持ちかけてから10回目の延長になる。同社はまた、PeopleSoft買収提案を阻止しようとする米司法省との訴訟でも戦いを続けている。

 「企業を買収する上で、もっと簡単な方法が確かにあるし、当社は常に友好的に事を運ぶのを好んでいる。もちろん、相手の企業が受託者の責任を果たし、われわれがそのことを思い知らせてやる必要がない場合の話だが」(フィリップス氏)

 Oracleは現在のところPeopleSoft総発行済み株式のわずか6%ほどしか手にできていないが、株主は「何か起きるのを期待している」とフィリップス氏は見ている。

 PeopleSoft買収をめぐる争いが市場の先行きを不透明にし、潜在的な顧客を追い払ってしまっているかもしれないとの見解は聞いているが、買収の影響を測ることは難しいと同氏。「当社の市場シェアはいずれのセクターでも伸びているが、(もしPeopleSoft買収提案をしていなかったら)もっとシェアは増えていただろうと言う人もいるかもしれない。しかし、それは誰にも分からない」(フィリップス氏)

 フィリップス氏は、かねてからアナリストが指摘していた通り、エンタープライズアプリケーション市場がほぼ飽和状態にあり、市場再編によってOracleとSAPなどの大手数社に統合され、成長の機会が限られてきていると認めた。「市場シェアは基本的に、売上高によって測られる。新たな売上は、既存顧客や移行してくる顧客から得ることができる」

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