ソフトウェア開発プロジェクトの問題解決を目指すBorland

サンノゼで開催中のBorCon 2004でソフトウェア開発の問題解決を図るSDOビジョンを発表した。大規模なプロジェクトを抱えるデベロッパーは「良いアイデアだ」と評価する。

» 2004年09月14日 11時36分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 Borland Softwareは、「Software Delivery Optimization」(SDO)計画を通じて、ユーザーがソフトウェア開発プロジェクトを一般業務のように管理できるようにする考えだ。カリフォルニア州サンノゼで開催中の「BorCon 2004」カンファレンスで9月13日、同社のソフトウェア製品担当上級副社長、ボズ・エロイ氏が明らかにした。

 ソフトウェア開発プロジェクトでは、期待通りの成果が上がらない、コストが膨れ上がるといった問題が発生することがあり、Borlandはこういった問題を解決するつもりだ、とエロイ氏をはじめとする同社幹部はカンファレンスで説明した。

 エロイ氏によると、SDOは5つの主要ポイントに狙いを定めているという。ソフトウェアプロジェクトの「適用性」「有効性」「予測可能性」「効率」、そして「質」である。SDOでは、ソフトウェアの開発は管理された業務プロセスとして扱われる。「アプリケーションライフサイクル管理(Borland ALM)がSDOの礎石としての役割を果たす」と同氏は強調する。

 「詰まるところ、ソフトウェア開発の最適化とは、ソフトウェアからビジネス価値を引き出し、人々が期待するメリットが確実にビジネスにもたらされるようにすることである」とエロイ氏は話す。

デベロッパーらは歓迎

 BorConの参加者のひとりは、ソフトウェアプロジェクトを実施する上での困難を克服するというメッセージを打ち出したBorlandの狙いは的を射ているという。

 サンフランシスコにあるソフトウェア開発会社、WideOrbitで技術製品マネジャーを務めるアラン・ジャイル氏は、「良いアイデアだと思う」と話している。同社では、TV放送業界の企業向けに業務管理ソフトウェアを開発している。

 「これは当社が現在抱えている問題でもある。というのも、当社のプロジェクトは非常に大規模だからだ」とジャイル氏は話す。同氏によると、変更を管理するのが難しく、販売やマーケティングなどの部署に変更を周知徹底させるのにも苦労するという。

 「ソフトウェアプロジェクト管理を現実の問題としてとらえているベンダーがいるのは心強い限りだ」とジャイル氏。

 エロイ氏によると、BorlandではSDOを柱とする3つのプロジェクトに取り組んでいるという。これらは「Project Themis」「Project Hyperion」および「Project Prometheus」と呼ばれている。

 Project Themisは、チームワークのためのインフラにフォーカスする。同社は2005年上半期にThemisを主体とする製品を提供する予定だ。

 Project Hyperionは、可視性と予測可能性を実現し、意思決定支援機能を提供する。ポートフォリオ/リソース管理ならびにプロセス自動化といった機能も提供する。

 Project Prometheusでは、外的要因を管理し、ソフトウェアプロジェクトを1つの業務として処理する。エロイ氏はPrometheusを「ソフトウェア開発のためのERP」と表現している。

 HyperionとPrometheusに関する具体的な製品は明らかにされなかった。Javaベースの開発プロジェクト用のThemisパッケージには、「CaliberRM」、モデリング製品の「Together」、構成管理用の「StarTeam」、パフォーマンステスト用の「Optimizeit」およびJava IDE(統合開発環境)の「JBuilder」が含まれる。その後には、Microsoft系開発者向けのバージョンも予定されている。

 Borlandはカンファレンスで「JBuilder 2005」も紹介した。同製品にはCaliberRMクライアントが組み込まれており、要件をソースコードに直接リンクすることができる。

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