特集:後編 いま、知っておくべきJavaテクノロジー 2004dev Java(6/6 ページ)

» 2004年09月30日 17時17分 公開
[阿島哲夫(カサレアル),ITmedia]
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 また、J2EEアプリケーションは単体で動作することはまれであり、何らかの外部システムとの連携を行うことが多い。そのため、Webサーバ、MTA(メールサーバ)、DNSなどの仕組みも覚えておくとより広範囲な視点でアプリケーションの動きを捉えることが可能だ。

 構築、運用の知識に関しては、Unix関連の場合「デベロッパー:Linux 運用」などを参考にしてほしい。

Webサービス(SOAP、WSDL、UDDI)が全盛になっている

 Webサービスとは、SOAPというプロトコルを使ってWeb経由でデータ交換を行う仕組みだ

 WDSLという形式(ファイル内の記述はXML)で、サービスにどのようなインタフェースがあるのかを記述し、どこにサービスが存在するのかをUDDIというリポジトリに登録する。

 Webサービスでやり取りするデータの形式にはXMLが使われる。WebサービスそのものはJavaに依存しないため、実現できるプラットフォームは、Javaはもちろん、.NETやSAPなど多岐に渡る

 また、プラットフォーム非依存なため、次世代のシステム間連携方式の最有力候補だ。J2EEアプリケーションエンジニアにとってもWebサービスは無視できない存在だ。

 2003年11月に発表になったJ2EEバージョン1.4では、ServletやEJBにもWebサービス関連の機能が追加され、商用ベンダーのアプリケーションサーバ製品はこぞって「Webサービス対応」をうたっている。

 この特集の最後に、2004年夏現在、Java業界でトレンドな、JSFとJ2SE 5.0についても触れておこう。

JSF(Java Server Faces)による開発環境の共通化

 JSFは2004年3月にSun Microsystemsからリリースされたフレームワークである。現在の最新リリースは、2004年5月にリリースされたバージョン1.1だ。

 JSFはクライアントからの入力、入力値の検証、ビジネスロジックの呼び出し、ビューの制御などの、MVCのVとCに相当する部分を受け持つ。JSFは、JCP(Java Community Process)がフレームワークの標準仕様として策定している。

 Spec Leader(仕様取りまとめ役)のCraig R.McClanahan氏はStruts、Tomcatの生みの親でもある。

 JSFは、Webアプリケーションのみならず、SwingなどのUI(ユーザーインタフェース)にも対応している。Sun MicrosystemsからはJSF対応の統合開発環境「Sun Java Studio Creator」がリリースされており、Visual BasicライクなGUIエディタが実現されている。ボーランドのJBuilder 2005でもJSFに対応した。

 Webアプリケーションフレームワーク市場では、現在はStrutsが一歩抜き出ている状況だが、StrutsはApache Software Foundationというオープンソースコミュニティがリリースしているひとつの製品にすぎない。

 対して、JSFはJavaの標準仕様として策定されたものなので、これからJSFを採用したWebアプリケーションや、JSFに対応したアプリケーション開発環境、開発ツールが増えていくことは想像に難しくない。

J2SE 5.0で開発環境はどのように変わるのか

 J2SE(Java2 Platform, Standard Edition)5.0は、米国日時29日に正式リリースされたばかりである。

 コードネーム「Tiger」の名で開発が進められ、J2SE 1.5としてリリースされる予定だったものだ(関連ニュース記事「Sunが過去最大と喧伝する「J2SE 5.0」の主な強化ポイントは?」)。ここ数日のうちにエンタープライズチャンネルでも正式版リリースのニュースが掲載されるはずだ。

 バージョン番号が1.4 から 5.0 と一気に上がるのも、意気込みの表れと取れるだろう。Genericsのサポートや、for文の拡張、可変長引数、static import追加など、コードの記述も大幅に変化する。J2SE 5.0は、2005年以降、開発環境の標準となっていくだろう。エンタープライズのニュースdev Java開発で追いかけてほしい。

ツール使いではいけない、業務、業界の知識を取り込もう

 エンジニアとしての価値を高めるには、実は、業務、業界の幅広い知識が最も重要と言える。そしてツールの機能性ばかりを重視しても、ある程度の人員で回すプロジェクトは成功しない。プロマネを志す読者には、コード品質ばかりに気をとらわれず、業界情報にも気を配ってほしい。「IT Premium」サービスでは、おすすめの開発者(デベロッパー)ニュースを毎日配信するEメールサービスを行っている。

 インターネットや書籍により、技術に関する情報が簡単に入手できる現在は、エンジニアとして差別化できるポイントは特定の分野に強いことである。

 この点ばかりは、エンジニアの置かれている環境や、今までの経験がものをいうからだ。もし、今いる会社が銀行や証券など、金融に強いのであれば、積極的に金融に関する知識をつけるべきである。物流関連のシステムに強いのであれば、物流に関する知識を吸収するべきだ。

 システムは顧客ビジネスのための道具である。ビジネスをよく理解できるエンジニアこそが、よりよいシステムを作ることができるのだ。

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