EU裁判所判事、MS是正措置の効果に疑問投げかけ

» 2004年10月02日 07時35分 公開
[IDG Japan]
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 Microsoftが独禁法違反で欧州委員会から命じられた是正措置に従うべきかどうかをめぐり、ルクセンブルクの第一審裁判所担当判事は10月1日、同委員会が命じた制裁にはMicrosoftの力をそぐ効力があるのかどうかについて疑問を投げかけた。

 「この是正措置に真の効果があるというのは実際のところなのか。結果が分からないのに制裁を科すというのはやや飛躍的ではないのか」。同裁判所のボー・ベステルドルフ所長は同日午後の審問でこう問いかけた。

 WindowsへのWindows Media Playerバンドルを阻止すれば、メディア再生ソフト市場で競争が回復し、この分野でMicrosoftが独占を強めている状態が覆る――というのが欧州委員会の見方だ。同委員会は、もし意見を求められた場合にメディア再生ソフトなしのWindows出荷を選ぶPCメーカーが何社あるのかは定かでないと認めているが、代理人のパー・ヘルストーム氏は「適度な」需要があると強調、消費者とベンダーが既存製品の利点を根拠としてメディア再生ソフトを選ぶ一助になると主張している。

 判事はまた、顧客がこれまで期待してきた機能の多数を組み込まない製品の販売をMicrosoftが命じられたことも懸念しているように見えた。Microsoftはこの審問で、自社のメディア再生ソフトを組み込まないバージョンのWindowsでは、音楽CDの再生やMP3ファイルの利用、Officeでの一部機能が利用できないことをデモして見せた。同判事は今後2〜4カ月以内に決定を言い渡す意向。

 Microsoftは前日の審問で、ワークグループサーバソフトに関する互換性情報の一部公開を命じた欧州委員会の命令に従えば大きな損害を受けると主張したが、ベステルドルフ判事はこれについて、この訴訟を和解に持ち込むために、互換性情報公開についてもっと進んだ措置を取る用意があるとMicrosoftが認めたことと照らして検討した。和解交渉中にMicrosoftは欧州委員会が現在要求している以上の情報公開を提案してきたと、同委員会が暴露。これを受けてMicrosoft相談役のブラッド・スミス氏が立ち、この矛盾について説明しようと努めた。Microsoftにさらに進んだ措置を取る用意があったのは確かだが、公開されれば回復不可能な損害を被る状況は変わらないと同氏は述べている。

 この日の審問を終えてスミス氏は、Microsoftにとってうまくいった日だったと感想を語った。「是正措置は欧州の消費者とソフト開発者に何十億ユーロものコストを科す」ものであり、欧州委員会はこれについて「容認できる代償」だと考えているようだとスミス氏はコメントしている。(→詳細記事)

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