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» 2004年10月04日 20時21分 UPDATE

Interveiw:Windows CE 5.0は「よりフレキシブルかつタイムトゥーマーケットな製品投入のために」

Windows CE 5.0では、改変したソースコードをマイクロソフトや他社と共有することなく保持することができるようになった。その狙いはどのようなものだろうか?

[柿沼雄一郎,ITmedia]

 マイクロソフトは先日、シェアードソースライセンスを拡張したWindows CE 5.0を発表。同OSではソースコードを改変した商用製品の配布も認められている。CEをはじめとする組み込み向けOSを統括する同社のモバイル&エンベデッドデバイス本部長の千住和宏氏、そして同シニアプロダクトマネージャーの吉村透氏に話を聞いた。

ITmedia モバイル&エンベデッドデバイス本部では、どのような製品を統括しているのでしょう。

千住 われわれがご提供しているプラットフォームとしては、Pocket PCのWindows Mobile、組み込み分野ではWindows CE、Windows XP Embeddedで、これらを利用した製品として、車載PC用のWindows Automotive、国内では来月発表となるPortable Media Centerなどが主なものです。欧米では携帯電話用のSmartphoneやWindows Mobile Phone Editionなども展開しています。

MSEmb01.jpg マイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部長の千住和宏氏。

ITmedia 国内で最もシェアが高いのはどのような分野においてですか?

吉村 国内ではPOSなど流通系の端末やATM、それからFAなどのパネルコンピュータといった分野では非常に多く利用されています。また、RFIDのリーダやレストランのオーダー端末などにも広く採用がすすんでいます。

MSEmb02.jpg モバイル&エンベデッドデバイス本部 シニアプロダクトマネージャーの吉村透氏。

ITmedia 採用のメリットとしては?

千住 端末にOSとして単体で採用されるだけではなく、そのバックエンドではサーバやデータベースに接続して大規模な処理のフロントエンドとしての利用や、ミッションクリティカルな分野への対応も可能という点で、マイクロソフトのプラットフォームソリューションとしてシステム的な利用価値を見出せることが顧客メリットだと考えています。さらに、Visual Studioといったデスクトップ製品との共通開発環境が利用できるため、特に国内のベンダーからは開発効率の高さも評価されています。

ITmedia マイクロソフトの製品だけで出来上がる世界になってしまうのですか?

千住 いいえ、それだけだと困るわけです。確かにソフトウェア的に親和性の高いサーバと端末どうしで開発を行ったほうが、効率の面ではよいかもしれません。ただし、特に組み込み分野においてはデバイスの柔軟な接続性が重視されるため、すべてがマイクロソフトのプラットフォームで統一されていることはまれです。使う側から見れば、必要なプロトコル(手順や決まりごと)=接続性さえ備えていれば、どんなOSが入っているかは関係ないのです。逆に言えば、相互運用性を備えていなければ、これからのビジネスとしては成り立たないということです。そういった意味で、いろいろな業界標準への積極的な参加も重要だと考えています。例えば特に現在「規格」が必要になってきている家電の世界では、Digital Living Network Alliance(DLNA)という業界団体に参加しており、こうしたガイドラインに沿った製品づくりというものを目指しています。

ITmedia CEはモジュール構造になっており、その組み合わせで自由にさまざまなデバイスを作り上げることのできるOSだと思います。しかしながら、今日までそれほどユニークなデバイスは出現していません。なぜでしょう?

吉村 それについては、OSとして対応可能なデバイスドライバの種類をどこまで持てるか、という点に集約されると思います。マイクロソフトはPC関連のさまざまな製品を作ってきましたので、この分野で培ってきた多くのノウハウを持っています。ですから、プリンタやネットワーク、グラフィックスといったPCで利用されているデバイスについては、CEでも最大公約数的にサポートをしています。それ以外の付加価値的な部分については、パートナー企業のソリューションということでビジネスを展開してきました。現在、ようやく50社を超えるパートナーシップを構築することができましたので、これから先はさまざまな分野にデバイスの種類が拡がっていくと期待しています。

ITmedia 今回のCE 5.0の特徴の一つに、T-Kernelとの親和性をあげることができます。これは日本のマーケティングから米国本社へリクエストし、実装された機能だと言うことですが。

千住 そうです。昨年発表したT-Engineフォーラムとの協業に合わせて、CE 5.0の開発段階で本社チームと連絡を取り合って作り上げたものです。今回の日本語版では、国内の各パートナーによるT-Kernel/T-Engineブリッジフレームワーク実装への賛同も頂いています。

ITmedia 具体的な働きかけとしては?

吉村 現在は、(T-Kernelなどの)パートナーOSとのブリッジフレームワークをどのように実装するかという点について、APIを公開して情報提供を行ったり、ハードウェアベンダーと協力しながらリファレンスを作成して、パフォーマンス検証できるようにするといった活動が行われています。「ハードウェアキッキングプログラム」として、OSのイメージを含んだ評価ボードの提供なども行っています。

ITmedia CE 5.0では、シェアードソースコードとして公開される部分が25%拡張され、ソースへのアクセス権利の拡大も図られていますが、この狙いは?

吉村 今まではソースコードの改変部分については、製品にフィードバックするのにマイクロソフトとやり取りをするための時間が必要でした。これを改善して、あくまでOSのコアとしての互換性の部分は維持しつつも、そのほかの周辺部分のカスタマイズをより行いやすい環境を提供したいと考えた結果です。開発を行っているパートナーに対して、よりフレキシブルに、かつタイムトゥーマーケットな製品投入をしていただくための答え、と言えます。

 対オープンソース、というつもりではないのですが、最低限の互換性を維持することや動作保証をすること、これがまずは大切だと考えています。その上で、各パートナーが工夫を凝らすアッドバリューの部分をいかに有効にしていくかということが今回の最大の焦点だと考えています。

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