Citrix iForum 2004開幕、ハリケーンにも負けない「アクセス」の戦略的なパワー(1/2 ページ)

米国時間の10月5日、「Citrix iForum 2004」が本格開幕し、ハリケーン並みのCitrix旋風がオーランドに吹き荒れた。テンプルトンCEOは、「アクセス戦略のための信頼されるパートナーになりたい」と話した。

» 2004年10月06日 07時01分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「今年は4つのハリケーンが猛威を振るった。母なる自然はすさまじいパワーを持っている。われわれも“アクセス”の戦略的なパワーを伝えたい」── アクセスインフラストラクチャソフトウェアのリーダー、Citrix Systemsのマーク・テンプルトン社長兼CEOは年次ユーザーカンファレンスのオープニングキーノートでこう切り出した。

ハリケーン並みのCitrix旋風を巻き起こしたいテンプルトンCEO

 木々がなぎ倒されるなど、あちらこちらにハリケーンの爪跡が残るフロリダ州オーランドで米国時間の10月5日、「Citrix iForum 2004」が本格開幕した。10月に入っても連日摂氏30度を超える当地は、同社が本社を置くフォートローダデールにも近い。いわばお膝元でもある。会場となったウォルトディズニーワールドのドルフィンホテルには約2900人の顧客やパートナーらが詰め掛けた。

 7月、フォーブス誌にはSiemens USA幹部の次のようなコメントが掲載された。

 「ジャストインタイムで知識を得たり、ジャストインタイムで企業情報にアクセスできるストラクチャが欲しい。それは企業に信じられないパワーをもたらすだろう」

 テンプルトン氏はこの言葉を冒頭で紹介し、それを既に実現しようとしている顧客をステージに招きながら、キーノート全体を通じてCitrixこそが包括的で革新的なアクセスインフラストラクチャソフトウェアを提供できることを強調した。

 Citrixは2003年3月、アクセスインフラストラクチャ構想をぶち上げ、その後のiForum 2003では単なる「サーバベーストコンピューティング」のベンダーから「アクセスインフラストラクチャ」のベンダーへの脱皮を宣言していた。今年5月には日本市場でも「Citrix MetaFrame Access Suite」を発表し、セキュアで柔軟なアクセス戦略を本格展開している。

すべての支店機能がポケットに

 この日、メインゲストとしてステージに招き上げられたのは、Deutsche Bank(ドイチェバンク)のグローバルアーキテクチャ担当ディレクター、ヘンリー・フィーグレイン氏。同銀行のIT環境は、8000台以上のサーバと8万台以上のデスクトップがあり、3400以上のアプリケーションが稼動するという複雑さだ。成長のために投じなければならないコストも複雑さが増すとともに膨れ上がっている。

 「(顧客を含めた)ユーザーのニーズは、日々変化する。それが、われわれにはコストやプレッシャーとなって圧し掛かってくる」とフィーグレイン氏。

eBranchプロジェクトを主導したDeutsche Bankのフィーグレイン氏が今回のゲスト

 同銀行はこうした問題を解決するため、各支店に配備されたOS/2を順次サーバベースコンピューティングに移行させる「eBranch」プロジェクトを開始している。2006年までにはWindows Terminal Servicesユーザーが2万人を超えるという。

 サーバベーストコンピューティングへの移行によって、ユーザー当たりの年間コストは最大で35%削減できたが、さらに彼らは、「インスタントオフィス」の構築を目指し、「Citrix MetaFrame Access Suite」の導入を進めていくという。ユーザーモデルを「モビリティ」「仕事の役割」、そして「組織」という3つの軸によって考え、「決まった仕事をするデスクトップユーザー」「クリエイティブな仕事をするデスクトップユーザー」「モバイルユーザー」「社外のユーザー」、そして「顧客」の5つを定義し、それぞれにセキュアで柔軟なアクセスを提供するのが狙いだ。

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