NEC、Itaniumメインフレーム第1弾を発表

同社初のItanium 2搭載メインフレームを12月に出荷開始する。新開発のOS「ACOS-4/VX」に加え、HP-UX、Windows、Linuxに対応したが、独自のRAS機能はACOS下でしか利用できない。

» 2004年10月07日 17時26分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 NECは10月7日、同社製メインフレーム「ACOS-4」シリーズのCPUに、Itanium 2を採用した「ACOS i-PX9000」を12月20日に出荷開始すると発表した。同社がItanium 2をメインフレームに搭載するのは初。

 NECは8月、ACOSシリーズへのItanium搭載計画を表明(関連記事参照)。自前主義から転換し、オープンシステムへの対応強化を加速する。

 新機種は、Itanium 2のアーキテクチャをACOSアーキテクチャに変換する「ACOSプラットフォームテクノロジ」を新開発して搭載した。既存のACOS-4と完全なバイナリ互換を持つため「既存資産を活用しながら、柔軟性のあるシステムを提供できる」(NECの近藤忠雄執行役員常務)。

 OSには、オープンシステムとの連携を強化した新開発の「ACOS-4/VX」や、HP-UX 11i v2、Windows Server 2003、Red Hat Enterprise Linuxを搭載できる。パーティショニング機構(物理・論理分割対応)を採用し、各OSは完全に独立して動作可能。各OSでメモリとプロセッサ資源を共有しながら、ニーズに合わせてダイナミックにリソースを構成し直せる。

 CPU上の命令の実行エラーを検出して回避する「命令リトライ機能」や、障害発生時に他CPUに処理を引き継ぐ「プロセッサリリーフ機能」など、独自のRAS機能も搭載。ただし同機能が利用できるのはACOS-4/VXのみで、オープン系OSからは利用できない。

 各OSからは、あらかじめプールしておいたプロセッサやメモリを動的にシステムに組み込むことが可能で、これにより障害発生時の性能低下を防ぐことができる。なお、パーティーションはセルボードと呼ばれるCPUを4個搭載したボード単位で分割され、動的にリソースを追加する場合もこのセルボード単位で行う。

 最新の高速インタフェースをサポートするほか、従来の周辺機器も接続可能だ。

 レンタル料金は、「i-PX9000/S」(全13モデル)が月額約300万円から、「i-PX9000/A」(全14モデル)が同約1300万円から。購入の場合はケースバイケースだが、レンタル料金の45カ月分くらいからの値段設定となっている。

 「メインフレームからオープン系サーバへの移行を考えているユーザーは少なくないが、フルオープン化は再構築コストやリスクが大きい。新製品ならメインフレームを継続して使いながら、オープン系への移行を徐々に進められる」(近藤常務)。

 ACOS-4シリーズのユーザー数は金融機関など約1200システムだが、新製品は今後3年で500台の販売を見込む。「これまでメインフレーム製品の出荷台数は年率15%程度のマイナスだったが、オープン系に対応した新製品投入により、これを改善したい」(近藤常務)。

近藤常務

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