SAS、マーケティングを業務プロセスに組み込む新製品を発表

SASインスティテュートジャパンは、データベースマーケティングを自動化する新アプリケーション「SAS Marketing Automation 4.1日本語版」を発表した。

» 2004年10月07日 18時49分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 SASインスティテュートジャパンは10月7日、都内で記者発表会を行い、データベースマーケティングを自動化する新アプリケーション「SAS Marketing Automation 4.1日本語版」を発表、同日から出荷を開始することを明らかにした。同製品は、3月に出荷されたビジネスインテリジェンスツール「SAS 9」を基盤に開発された業務アプリケーションとなっている。

 来日したSAS Internationalカスタマーインテリジェンス担当バイスプレジデント、フィル・ウィンタース氏は発表会の冒頭、前日に宿泊した都内のホテルで、調査機関Forresterのアナリストと話をしたことを紹介した。「アナリストはSAS Marketing Automation 4.1について、市場を揺るがす優れた製品と言った。そのときにちょうど(関東地方に10月6日夜)地震が起きた。われわれは昨日の地震よりももっと、この製品で日本を揺るがしたい」と冗談交じりに話し、製品への自信を示した。

 同製品は、企業におけるマーケティングへの取り組みを、新規顧客獲得や既存顧客の維持、追加販売などを目指す「マーケティング戦略」と、SFA(Sales Force Automation)や電子メールの利用、広報宣伝などを含めた「マーケティング活動」に大別し、この2つが緊密に連携することを前提にしている。

 戦略立案から、実際のマーケティング活動の実施および検証というプロセスを、クローズドループの中で行い、顧客を収益性、リスク、行動という3つの視点から理解する。言い換えると、ビジネスに役立つアイデアを創造し、業務の中で実践、その効果を測定し、新たなアイデアを考え出すという閉じたプロセスを構築するツールとなる。

 例えば、携帯電話のキャリアなどのユーザー企業が「解約率を改善するためのマーケティング施策は何か?」といった疑問を持った場合。同製品が導入されていれば、顧客の解約を決定づける要因や顧客プロファイル、購買履歴といったデータを多角的に分析することで、数値の裏づけのある原因究明や解決策の立案が可能になる。その上で、精度の高い施策を行い、検証する。そして、新たな解約率データを基に同じプロセスを繰り返していくわけだ。こうすることで、「顧客の顔」が時間を追うごとにはっきりと見えてくる。

 SAS Marketing Automationをシステム面から見ると、まず、顧客データベースや取引履歴、コールセンター、Webログといった各種情報から「Customer Intelligence DWH」を生成することから始まる。経営者や分析担当者、マネジャーといった各ユーザーは、Customer Intelligence DWHからそれぞれ、自分の業務に対応したデータをDBとして抽出して参照する。

 キャンペーン担当者なら、ここから、電子メールやマルティメディア端末、ダイレクトメール、コールセンターといったチャネルを通じて、実際の顧客に商品の提案をしたり、来店を促すためのキャンペーンを企画することになる。

具体的な導入効果は?

 導入効果をもう少し具体的に掘り下げると、「利益の増加」と「コスト削減」の2つに分けることができる。

 まず、ターゲッティングを明確にできることにより、マーケティング施策に対する顧客のレスポンス率を上げることができる。また、案内へのヒット率も上がることで、アップセルやクロスセルが成功し、結果として利益の増加につながる。

 一方、ターゲッティングの明確化によってキャンペーン回数を減らせることや、ツールによるキャンペーンスタッフの生産性向上から実現する人件費削減、データベース構築やメンテナンスの効率化によってITに関わる人の人件費を減らせることで、全体としてコストの削減を実現できるという。

 この日は、Mutual&Federal、Bank of America、ドイツのKarstadt-Quelle、Sony Music、Provident Bank、Telia Sonera、Hjemmet Mortensenなど、同製品を導入した顧客企業での利用のされ方についても紹介された。

発表会の最初に挨拶した日本法人の堀昭一社長



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