ソフトウェアの未来はどこに? ――ブーチ氏そしてIBMが見つめる未来IBM Rational Software Development Conference基調講演(2/2 ページ)

» 2004年10月07日 23時31分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
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そしてブーチの登場へ

 米持氏および藤井氏と入れ替わりに壇上に立ったのは、IBMフェローのグラディ・ブーチ氏。イヴァー・ヤコブソン氏、ジェームズ・ランボー氏とともにUML開発の中心となった同氏を見るために参加した方も少なくないはずだ。7月にテキサス州グレープバインで行われた「Rational Software Development User Conference 2004」でも基調講演を務めた同氏が、再び開発者に向けて熱い思いを語った。

ブーチ氏。冒頭、プレゼン資料を操作する機器の使い方が分からず、「ソフトウェア開発ばかりで、こういったことが分からない。でも使い方を覚えるのは早いよ」とおどける一幕も。

 とはいえ、そこで語られた内容の多くは7月に語った内容と同じく、開発者とソフトウェアの重要性が中心だった。もちろん、そう結論するに至る材料として、IBMが設立された1910年代からこれまでの歴史と社会の発展、そして革新的な発明などに触れた。

 そして話は未来へと進んでいく。2010年はソフトウェアが目に触れることなく動作する「透明性の時代」、2020年にはソフトウェアに完全に依存する時代に、2030年には、あらゆる機器にソフトウェアが組み込まれる時代となるという。また、そこに至るまでに起こりうる世界情勢についても触れる。

 同氏がこのように未来の世界情勢をこと細かに説明しようとするのは、「社会は、さまざまな分野が調和しながら進化するものなので、ソフトウェアの将来を語るにあたっては、ほかの分野の状態も考える必要があるため」である。

「2日前に来日して新宿でパチンコパーラーやゲームセンターなどを見たが、自分の目には多くのソフトがあるのだなと思った。また、10年前にはなかったスターバックスがどこにでもあるなど、文化のボーダレス化も感じる」(ブーチ氏)

 未来の世界情勢を分析したあとは、ソフトウェアの未来についても同氏はプラットフォームや言語などのカテゴリに分けて言及していく。ブーチ氏は「OSはさらにコモディティ化するとともに、焦点はミドルウェアに移行する。ソフトはデバイスに組み込まれることで、人の目から見えなくなっていく」とし、それはつまり、意識することなき依存への道なのだと話す。

 そして最後に、これまでソフトウェアは世の中を変革してきた。そして今後生まれるであろう新しいものは今ある技術から生まれるわけではないが、それでも、それは何らかのソフトに必ずかかわってくるとする。だからこそソフトウェア開発に従事することは非常にエキサイティングで、責任のあることだと話す。

「バイアスといわれるかもしれないが、私たち、そして皆さんのようなソフト開発者が世界の将来を決めていくのだ。私たちも全力でツールやソフトを皆さんに提供する。皆さんはそれを使って世界を変えてほしい」と締めくくり、1000人を超える観衆からの拍手を浴びて壇上を降りた。

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