多くの統合開発環境(以下、IDE)では、利用できる機能は入手した時点で決まるものであり、その範囲外の作業を行いたい場合には、外部ソフトウェアと交互に使い分けるか、あるいはバージョンアップによる新たな機能追加を待たなければならない。
しかし、Eclipseの場合には異なっている。なぜならば、Eclipse自身はプラグインプラットフォームとして環境が構築されており、その上で動作する機能はすべてプラグインとして開発、導入されているからだ。最も利用するであろうJDE(Java Development Environment)さえも、Eclipseのインストール段階から導入されているプラグインのひとつに過ぎない。
以下に、Eclipseインストール時から導入されているプラグインの中から、利用される頻度の高いものを記しておこう。主な利用方法については特集の第1回で解説しているため、そちらを参照いただきたい。
先に述べた通り、Eclipseプラットフォームにおける機能はプラグインとして開発、導入されている。これは、ほかのIDEと比較してどのようなメリットがあるのか考えてみよう。
「UMLを作成する」「ソースコードを記述する」「アプリケーションサーバ上でデバッグを行う」「データベースに格納されている情報を編集する」「テスト自動化ツールを用いて単体テストを行う」。
上記のいずれもが開発工程において特別なものではない。しかし、これらすべての作業を統合して行える、いわゆる開発統合環境は、商用ソフトウェア以外、見あたらないだろう。
プロジェクトごとに異なる環境を揃えることも、コスト的(ソフトウェアライセンス料や、新たに導入された環境に習熟するまでに掛かる人件費)に困難であり、また必ずしも必要な機能が用意されているとも限らない。
多くの場合、開発者は日常的に複数のソフトウェアを立ち上げ、それらの間を右往左往するのである。
Eclipseの環境はどうだろうか? Eclipseプロジェクトから入手するEclipse単体で用いる場合には、ほかのIDEと比較して大きく変わるところは少ない。
しかし、テストの自動化を行いたいならばあらかじめ導入されている「JUnitプラグイン」がある。
UMLを記述するならば「UMLプラグイン」を導入すればよい。
アプリケーションサーバとの連携を図りたければ、「Tomcatプラグイン」を始めとするアプリケーションサーバ対応のプラグインを追加すればよいのだ。
このように、Eclipse単体で不足している機能はプラグインとして提供されている。さらに、その多くが無償で利用できることも大規模なプロジェクト利用などで大きなメリットとなるだろう。ただし、中には商用利用の際には有償となるライセンスを採用しているケースもあるため注意してほしい。
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