Google、IPO後の初決算は絶好調

GoogleのIPO後初の決算は2倍の増収増益となった。創設者ラリー・ペイジ氏は、オンライン広告への依存を懸念する声を、「この市場は非常に大きく、今はまだ揺籃期の段階」と一蹴。(IDG)

» 2004年10月22日 16時52分 公開
[IDG Japan]
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 “検索業界の異端児”米GoogleがIPO後初めて報告した四半期(7〜9月期)決算は、ウォール街の予測と大きく異なる内容となった。

 7〜9月期の純利益は5200万ドル(1株当たり19セント)、前年同期は2040万ドル(1株当たり8セント)だった。特別費用を計上する前の純利益は1億2500万ドル(1株当たり45セント)で、Thomson First Callがまとめた1株56セントというアナリスト予測を大きく下回った。

 売上高は、前年同期比105%増の8億590万ドルを達成。TAC(トラフィック獲得コスト)と呼ばれる提携パートナーに支払う売上手数料を除外した場合の売上高は5億300万ドル、アナリスト予測の4億5600万ドルを上回った。

 Google株は8月19日にNasdaq証券取引所で取引開始され、これまでの最安値は95ドル96セント、最高値は152ドル40セントとなっている。IPO公募価格は85ドルだった。

 21日(決算報告前)のGoogle株の終値は前日比6.33%高の149ドル38セントであった。

 1998年創設のGoogleは米カリフォルニア州マウンテンビューに本拠を置く。売上のほとんどは、同社サイトならびに広告ネットワークの提携企業サイトに掲載するオンライン広告が占める。この広告は、関連キーワードを介してページのコンテンツまたは検索クエリーと関連付けられる。例えば「バスケットボール」関連の広告は、「バスケットボール」という単語が出てくるページとリンクされ、検索結果と一緒に表示される。こうした広告は、一般に「スポンサー付き検索広告」と呼ばれる。

 最も人気の高いインターネット検索エンジンとしてその存在を知られるようになったGoogleは、検索市場の内外でリーチを拡大しつつある。検索市場内においては、最近発表したデスクトップ検索アプリケーション、イントラネット検索アプライアンス「Search Appliance」、比較ショッピングサービス「Froogle」、検索範囲を地域別に絞り込む「Google Local」サービスなどの特殊サービス・製品を立ち上げている。

 このほかの最近の動きとして、「Google SMS」β版のリリースがある。このサービスでは、携帯電話などのワイヤレスデバイス利用者がSMS(ショートメッセージングサービス)を介してGoogleの検索インデックスを利用できる。今月初めに正式立ち上げとなった「Google Print」は、Googleの検索エンジンで書籍の本文を検索できるようにするサービス。

 Googleの共同創設者で製品部門社長を務めるラリー・ペイジ氏は決算報告に関する電話会見で次のように述べた。「当社は今、世界中の情報を整理し、誰でもそれにアクセスできるようにし、役に立つ情報を提供するというミッションに向けてようやく進み始めたところだ。当社のコンピュータでインデックス化されている情報は、世界中にある情報のほんの一部である。われわれは常にインデックスの拡大に努め、世界中の情報を収集・提供するための新しい技術の開発に邁進する」

 Googleは検索以外の分野でのリーチ拡大にも積極的に取り組んでいる。今年7月、デジタル写真の整理・管理ソフトの開発元でデジタル写真を共有するP2Pネットワークを運営していたPicasaを買収。4月には、現在テスト中のWebメールサービス「Gmail」を発表し、昨年はPyra Labsの買収でブログサービス「Blogger」を獲得した。最近はGoogleがWebブラウザインスタントメッセージングサービスを開発中との噂が飛び交っている。

 GoogleがYahoo!、America Online(AOL)、Microsoftなどのライバルと互角に争うためには、事業の幅を広げて収入源を増やし、もっと有利なポジションにつく必要があると業界観測筋は指摘している。Yahoo!、AOL、Microsoftはいずれも、多大な利益が見込める急成長中のスポンサー付き検索分野でシェア拡大に向けて攻勢をかけている。

 業界団体Internet Advertising Bureau(IAB)およびPricewaterhousecoopersの9月の報告によれば、4〜6月期におけるインターネット広告売上は全体で約23億7000万ドルと、前年同期から42.7%増加した(9月21日の記事参照)。種類別で最大の売上を上げたのは検索関連広告で9億4700万ドル。2位のディスプレイ広告(4億7400万ドル)と3位の求人広告(4億300万ドル)を大きく引き離した。

 「当社がオンライン広告に強く依存していることを危惧する向きもあるが、この市場は非常に大きく、今はまだ揺籃期の段階だと確信している」とペイジ氏。「技術革新により、今後オンライン広告はますます効果的で魅力的なものになるだろう。(ユーザーと広告主における)広告の関連性を強化し続ける革新のおかげだ」。例えば、Googleは最近同社のイメージ検索サービスで広告掲載テストを開始したと同氏は説明した。

 Googleはまた、国際的なプレゼンスの拡大にもフォーカスしていると、共同創設者の1人で技術部門社長のサーゲイ・ブリン氏。同氏とペイジ氏は最近2週間の海外出張から米国に戻ったばかり。この出張ではアイルランド首都ダブリンで欧州本社を開設し、一部のアジア諸国を訪ねたという(10月18日の記事参照)。ブリン氏は「世界中に大きなビジネスチャンスを見出している」とし、Googleの全売上に占める国際部門の売上は、4〜6月期の31%から7〜9月期は35%に拡大したと言い添えた。

 AOLは自社のインターネット検索サービスでGoogle技術を採用しているのに対し、Yahoo!は独自技術を使用、Microsoftも独自の技術を開発中だ。さらにAOL、Microsoft、Yahoo!の各社はGoogleが持っていないインスタントメッセージングなどのオンラインサービスを既に提供しているほか、WebメールサービスなどGoogleに先行しているサービスも持っている。

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