「大阪でもやりまっせ」関西オープンソース2004開催(2/2 ページ)

» 2004年10月26日 07時39分 公開
[可知 豊,ITmedia]
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できることは誰にでもある。それが状況をよりよくする。

 「オープンソースコミュニティについて考えよう」というセッションでは、今までコミュニティ活動を経験したことがない人が、どのように活動に関われるかというテーマでディスカッションが行われた。司会は、OSPN(Opensource Peoples Network)のみやはらとおる氏である。

 このディスカッションは、参加者が自由に発言できる形式で行われた。参加者が自己紹介を兼ねて自分の活動経験を紹介することで、コミュニティの現状やコミュニティ未経験者の考えていることが浮き彫りになっていった。

 ある参加者は「誰かがやってくれるだろうと考えてしまい、なかなか活動することができない」と発言した。別の参加者は「オープンソースに限らず、いろいろなコミュニティがある。その中で、WindowsのコミュニティよりもUNIX系のコミュニティのほうが盛り上がっていると思う。Windowsのユーザーの多くにとって、ソフトウェアは上から降りてくる物と考えているのに対して、UNIXでは自助努力する文化を持っていることが関係しているのではないか」と分析した。

 司会のみやはら氏は、「では開発の人やプログラマは、一般のユーザーにどんなことを期待したいのか?」と問いかけた。Slashdot Japanなどで活躍するwakatono氏は「“何がどう分からない”という普通の情報でも、“こうやったけど分からない”という点を書けば、それはしっかりとした情報であり、貢献になる」とコメントした。

 最後に、司会のみやはら氏は「私自身もプログラムを書けないけれど、やるべきことや役に立つことはたくさんあると考えている。このようなイベントに来る人だけでなく、一般の人に向けてメッセージを伝えていきたい。もちろんそれだけでなく、開発者の再生産も大切なので、そちらについても取り組んでいこう」とまとめた。

多様なデモンストレーションと活発なコミュニケーション

 展示エリアには、41の企業、団体、学校、コミュニティなどが出展された。自社の製品をアピールする企業もあれば、手作りの作品を持ち込むユーザーコミュニティもあるといった状況であり、多様なデモンストレーションが行われた。

 また、普段はオンライン上でしかコミュニケーションできない人同士が、直接に顔を合わせるという場面も多く、活発な交流が行われた。

オープンソースを推進するグッデイ

 ITシステム開発企業であるグッデイは、Debian GNU/LinuxをプレインストールしたオープンソースデスクトップPCを発表した。

 その目玉として、松下電器産業のLet's noteにプリインストールしたモデルを紹介した。展示デモでは、グッデイの社員であり電子メールクライアントSylpheedの開発者である山本博之氏から、実際の展示マシンであるLet's noteを普通に使っている場面が公開された。グッデイでは、「LinuxをプリインストールしたPCを単に購入していただくのではなく、その開発過程を見て、口を出してほしい」とアピールしていた。

コミュニティに向けてSUSE Linuxをアピールするノベル

 ノベルのブースでは、SUSE Linuxの各製品がデモンストレーションされていた。

 ノベルでは「SUSE Linuxは、幅広いユーザーにアピールする製品構成になっているが、コミュニティの中心なるイベントでも多くの人に触ってほしい」と説明していた。ノベルでは、全世界で6万人の社員が、WindowsからLinuxへ移行することが決定しているという。日本法人でも、OpenOffice.orgを中心に業務に使い始めているとのことだった。

オープンソースで医療現場を変えるORCAプロジェクト

 日本医師会のシンクタンクである日医総研は、医療現場のIT化のためのORCAプロジェクトで、日医標準レセプトソフトをオープンソースで開発している。

 レセプトコンピュータとは、医療業務には欠かせない存在で、医療機関で診療報酬請求書を発行・管理するためのシステムである。多くのメーカーが独自のレセプトコンピュータを販売する中で、日本医師会が標準となるシステムを開発するインパクトは大きい。

 すでに、採用している医療機関も1000を越え、手応えを感じているところだという。ORCAプロジェクトでは、「メーカーになるつもりではなく、オープンソースを利用して標準となるソフトウェアを開発していく」と説明していた。

オープンソースで開発された日医標準レセプトソフトをデモする日医総研

オープンソースを授業に活かす日本電子専門学校

 日本電子専門学校のコンピュータネットワーク研究科は、授業にオープンソースソフトウェアを利用すると共に、必要なソフトウェア開発も行っている。

 今回の展示では、先日発表したUSBメモリから起動するKNOPPIXをデモストレーションしていた。「それでは、やってみましょう」と言うと、いきなりデモPCの電源をオフにしておもむろに再起動。デモPCにはハードディスクがつながれていないが、必要なOSは256MバイトのUSBメモリに収まっているため、数秒でLinuxが起動した。

 「学校では実習環境の整備が欠かせないが、USB-Knoppixを利用することで作業時間は1万分の1と言っていいほど短縮された」と説明する。

 学校法人がこのようなイベントに参加する目的を聞くと、「学校がビジネスとして成立するための宣伝側面もあるが、同時に、優れた技術を世の中に広めるという役割を担っている。Linuxなどの技術を多くの人に知ってもらうのは、そういう社会貢献のひとつ」と答えた(関連記事)。

子供も楽しめるSqueak

 Squeakは、アラン・ケイ氏らが中心となって開発を進めているオブジェクト指向プログラミング環境Smalltalkのオープンソース実装のひとつだ。

 子供も簡単に楽しくコンピュータを扱えることを特徴としており、たとえばSqueakToysというソフトでは、マウスで描いた自動車の落書きをマウスだけでプログラミングして走らせられる。

 Squeak-jaは、そのSqueakの日本におけるメーリングリストである。今回はそのメンバーが、Squeakのいくつかのソフトウェアをデモンストレーションしていた。Mac版やWindows版だけでなく、シャープのLinuxザウルスで動作するバージョンも軽快に動作していた。

グラフィックから3D-CG・サウンドまで幅広い情報を楽しく扱えるSqueak
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