北東アジア発世界へ――Asianux開発に韓国Haansoftが参加

ミラクル・リナックスと中国のRed Flag Softwareが共同で進めてきたアジア発のLinuxディストリビューション「Asianux」の開発に、韓国のHaansoftが加わる。

» 2004年10月26日 18時25分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 10月26日、ミラクル・リナックスと中国のRed Flag Software(北京中科紅旗軟件技術)が共同で開発、提供してきたアジア発のLinuxディストリビューション「Asianux」の開発に、韓国のHaansoftが加わることが発表された。

 Asianuxは、北京のオラクル開発センター内に設けられたLinux共同開発センターをベースに開発が進められている、企業向けのLinuxディストリビューションだ。

 今年6月には「Asianux1.0」がリリースされ、それを元にローカライズが加えられたパッケージが、日本では「Miracle Linux V3.0」、中国では「Red Flag DC 4.1」と、それぞれのブランド名で出荷されている。またこの7月の「Oracle OpenWorld Shanghai 2004」では、Asianux上でOracle 10gの動作検証が完了したことも発表された。

 今回プロジェクトに加わったHaansoftは、韓国ではワープロソフト「Hangul」やMS Office互換のOfficeスイートで大きなシェアを持っている。Red Flagの豊富なツール群、ミラクルのサーバ向け製品における強みに、Haansoftのオフィス/グループウェアにおけるノウハウや技術が加わることにより、よりよいディストリビューションが実現できるという。

 具体的には、Haansoftが培ってきた2バイト言語の変換技術をAsianuxで活用していくほか、「(同社の参加によって)Officeソフトを含めることも可能になるため、サーバ向けでだけでなくデスクトップバージョンについても、どういった形で提供するかも含めて検討していく」(ミラクル・リナックスの戦略事業推進室、児玉崇氏)。

 三社は今後、日中韓の顧客から寄せられるそれぞれの要求を汲み取りながら、共通レベルのサポートを提供していく。開発部隊のエンジニアも、従来の20名体制から30名体制に強化されるということだ。

 その上で来年1月から次期バージョン「Asianux 2.0」の共同開発を開始し、9月にリリースする予定という。特に管理性や拡張性、アベイラビリティを強化したディストリビューションになる見込みで、各社はこれを下敷きに、「MIRACLE LINUX V4.0」「Red Flag AS 4.2」および「Haansoft Linux 2005」の名称で製品化を行う計画だ。

 合わせて、各国のオープンソースソフトウェアコミュニティの支援に取り組むほか、各国政府で進むLinux/オープンソース関連プロジェクトにも積極的に参画していくという。

 たとえば、韓国の場合「他国に比べてのLinuxの浸透度は非常に低い」(Haansoftのカン・ティージン副社長)。UNIXに比べサポート面での不安が大きいことなどが理由というが、「逆に言えば、この状況は大きな成長の余地があるということ」(同氏)。

Haansoftのティージン氏 「普及はこれからだけに、大きなチャンスがある」と述べたHaansoftのティージン氏

 ティージン氏によれば、韓国では現在、教育機関のインフラにLinuxを導入するという大規模なプロジェクトが進んでいるという。「これが成功しLinuxが採用されれば、それもRedHatやSUSEではなくAsianuxが採用されれば、非常に大きなチャンスになる。これがきっかけとなり、Asianuxの存在を世界に知らしめ、アジア市場にとどまらず国際的なスタンダードになるよう願っている」(同氏)。

 「アジア諸国は車や鉄鋼、船舶などを全世界に輸出しているのに、ソフトウェアとなると欧米からの輸入ばかり。時間はかかるかもしれないが、日中の支援を受けてこの状況を変えていけると信じている」と同氏は述べた。

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