SAPジャパン、「ノンSAP間連携」でEAI市場に本格参入へ

SAPジャパンはシステム間を連携するSAP Exchane Infrastracure(SAP XI)の最新版「SAP XI3.0」の出荷を同日から開始したと発表した。

» 2004年10月26日 19時30分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 SAPジャパンは10月26日、都内で記者発表会を行い、システム間を連携するSAP Exchane Infrastracure(SAP XI)の最新版「SAP XI3.0」の出荷を同日から開始したと発表した。EAI(Enterprise Application Integration)製品として、従来はサポートしていなかったSAP以外のソフトウェア同士の連携に対応し、顧客の裾野の拡大を図る。

 また、ビジネスプロセスマネジメント機能の追加、RosettaNetをはじめとした企業間連携の業界標準向けテンプレートの提供、さらに、XI3.0を単体で利用するユーザー企業向けに新たな価格ライセンス体系を設定したことも併せて明らかにしている。

 新製品で注目される機能は、「ノンSAPシステム」同士の接続。これにより、SAPの製品を利用していないユーザー企業が、EAIツールとしてXI 3.0を利用するケースが出てくる。

 XIソリューションオーナーの斉藤文則氏は、XI3.0でSAP以外のシステム間連携に対応したことに加え、「ビジネスプロセスマネジメント(BPM)の構築ツールを追加したことが特徴」と話す。これにより例えば、コールセンターやサプライチェーン、物流など、SAPと異種システムが混在する既存のシステムを、XI 3.0を利用して各機能ごとにサービス化することで、引き合い、在庫確認、受注、出荷といった新たなビジネスプロセスを構築する機能が加わった。

 これは、既存システムを活用し、細かい機能を提供するサービスの集合体としてアプリケーションを構築するSOA(サービス志向アーキテクチャ)に基づいた製品設計になっている。

 XI3.0で同社は、EAI(エンタープライズアプリケーション統合)単体ツールとして、アプリケーション間を連携するのではなく、プラットフォームスイートとして提供するという。具体的には、技術基盤としてSAP Web Application Server(WebAS)を活用し、その上で、ビジネスプロセスを統合する役割をXI 3.0が担うことになる。このほか、WebAS上で、「人」の統合はポータル機能を提供するSAP Enterprise Portal(EP)、「情報」の統合はビジネスインテリジェンス機能を提供するSAP BWで提供する。

 同社の中核的な戦略であるNetWeaverは、人、プロセス、情報の統合を掲げており、この日発表されたXIも、プロセスの統合という側面でNetWeaverを構成する要素となっている。

 さらに、XI3.0では、RosettaNetや、化学業界向けのCEDI/CIDXなどの企業間取引の業界標準に対応した。

新規ライセンス体系

 この日は、XI3.0における新たなライセンス体系も発表されている。従来のXIのライセンス体系は、EAI基本ライセンス、CPUライセンス、SAP以外の接続用アダプタ数の3点によって課金していた。

 新ライセンスではこれが、「SAP-SAPおよびSAP-SAP以外のシステム」というライセンス体系と、「ノンSAPとノンSAP」のケース、つまりシステム連携のみにXI3.0を利用するライセンス体系の2つに統合された。

 注目される「ノンSAPとノンSAP」の体系では、NetWeaverを構成するWebAS、EP、BWの3製品がバンドルされ、課金はCPUライセンスのみが対象となる。

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