製造業の多くがPLM導入を検討――ネクステック調査

製造業向けコンサルティング企業のネクステックは、主要ビジネスであるPLMに対する顧客企業のニーズを把握するための調査を行い、314社から得た有効回答の結果を明らかにした

» 2004年10月28日 21時12分 公開
[ITmedia]

 製造業向けコンサルティング企業のネクステックは、主要ビジネスであるPLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)に対する顧客企業のニーズを把握するための調査を行い、314社から得た有効回答の結果を明らかにした。

 PLMは、製品企画段階から生産設計を経て、製造、その後の保守や製造中止まで、製品ライフサイクル全てにわたる業務をデータに基づいて実行すること。

調査概要 

 アンケート調査を依頼したのは、東証一部上場、売り上げ高が500億円以上の製造業のうち、1156の事業部、生産拠点の企画及びユーザー部門全般。そのうち、回答を得た担当者の属性は、役員が19%、経営企画部門が17%、情報システム部門が16%、設計開発部門が31%、生産部門が17%となった。1つの企業の同一事業部の複数回答は1本として集計し、合計314サイトの回答を得た。調査期間は2004年の7月1日から9月30日。

回答企業のプロファイル

 PLMプロジェクトへの取り組み状況については、回答者全員がPLM改革の必要性を認識し、15%が何らかの取り組みに着手しているとした。また、75%はこれから取り組む計画があるとしている。「検討中」「やらなければならない」という回答が目立つことから、今後、PLM領域の取り組みが活発化すると同社は予想している。

 また、PLMシステム導入の取り組み状況では、回答者全員が、「PLMを実現するためにシステムが必要になる」と回答した。PLMシステムの導入時期については6カ月後以降から2〜5年、また、未定とした回答が80%を示すことから、すぐに導入を考えている企業は少ないという結果となった。

 既成のパッケージに業務を合わせるSCMやERPとは異なり、PLMを導入するに当たっては、自社のあるべきPLMデザインをしっかりと描くことが先決であると認識されているという。

 また、PLMは組織横断型の改革プロジェクトになるため、現場の巻き込み作業や、上層部の理解を得ることで、自社のPLMのあるべき姿を把握することが重要になる。「プロジェクトが立ち上げられない」という回答が多いことから、PLMのデザインに苦労していることが判明した。

PLM改革において苦労する点

 そして、PLMシステムを構築する上でのスコープの調査では、設計と製造のコラボレーションが最重要課題であることが分かった。また、品目情報やBOM(部品表)の全社管理、設計/仕様変更管理、製品ごとのプロジェクト管理なども、構築するPLMアプリケーションとして多く挙げられた。

PLMをつかさどるデータおよびBOM(部品表)の課題

 今回の調査では、PLMプロジェクトを立ち上げること、そして、運営することの難しさが浮き彫りになった。「現場の理解」「トップの理解」「自社のPLMの企画」といった人間に起因する問題と、マスターデータが幾つも存在していること、図面や紙中心の仕事をデータ化することの難しさなどが認識されていることも明らかになった。

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