最高のパートナーシップで極限への挑戦を続けるSAPと日本HP(1/2 ページ)

SOAに関しては、分散システムの諸問題を解決するアーキテクチャとして期待を集めるが、その全体像を掌握するのは困難である。NetWeaverを携え、SOAの世界に足を踏み入れたSAPは、HPというよきパートナーを得て、その普及を進めようとしている。

» 2004年11月01日 00時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 SAPは1992年にそれまで提供していた大型汎用機向けの基幹業務パッケージ「SAP R/2」から、3層クライアント・サーバ型の「SAP R/3」をリリースし、メインフレームからオープン系へと移行した。

 1995年になって、日本ヒューレット・パッカードもSAPビジネスに取り組むようになった。ベストプラクティスを組み込んだSAP製品は、よほど想定外の使用でない限り、パッケージで十分対応できてしまう。これは、パッケージは単なる骨格で、そこに自分たちの独自性を付加していくというそれまでのパッケージの考え方を大きく覆すものだった。日本HPマーケティング統括本部アライアンスマーケティング本部シニアマネジャーの田中康義氏は当時のSAPビジネスについて次のように話す。

 「中小企業では、自分たちでアプリケーションを作るだけの資金力や技術力を持っていないことが多いので、パッケージを購入するという文化はそれまでにも存在していた。しかし、大企業のシステムはパッケージでは対応できないことが多く、パッケージの導入はまれであった。SAPが大企業でも使えるものを提供したことで、パッケージに対する大企業の意識が大きく変わった」(田中氏)

 この結果、当時、商社系、医薬系の大企業にSAP製品が多く導入された。そして、そのかなりのインフラ部分に日本HPのプラットフォームが採用されたという。

田中氏 「蓄積されたインフラ部分の強みを生かしたい」と田中氏

 今後、日本HPがSAPビジネスで利益を拡大するにあたっては、こうした大企業の既存顧客と、中小企業など今後導入が見込める潜在顧客で取るべき対応が異なる。既存顧客に対しては、いかに利益を拡大していくか、つまり、SAP NetWeaverなどSAPの新しいソリューションを提案することで、ビジネスの拡大に結びつける戦略をとるという。これに対し、新規顧客となり得る中小企業などに対しては、パートナーとの協調を重要視する戦略を考えている。

 「中堅市場のように今後SAP製品の新規顧客となり得る部分は、パートナーとの協調が重要。日本HPはインフラ部分を、アプリケーションの部分はパートナーに主導権を持たせ、お互いに専門性の強い部分を活かして最高の成果を顧客に提供したい」(田中氏)

蓄積されたノウハウは「SAP Award of Excellence」が実証

 日本HPは、中小企業向けにSAP製品の販売を展開するにあたって、これまで蓄積されたノウハウを武器とするソリューションを提供する。

 企業を取り巻く環境の変化が激しさを増している現状で、SAP製品を導入する際の期間とコストは深刻な問題だ。例えば、SAP R/3会計モジュールの導入におけるプロジェクトの進行は、ワークショップ、実装、本番移行の流れで進むのが一般的だが、このプロセスには少なくとも6カ月程度は要するとされる。

 しかし、日本HPではこれまで培ってきたSAP R/3会計システムにかかわる多くの実績から効率的な方法論を確立し、「F1 Pack」というSAP R/3の会計モジュールの導入に必要な要件がすべて含まれたソリューションを用意、わずか2カ月/3150万円(税込)で会計システムの基盤整備を実現している(関連記事参照)

 同様に、SAP BW(Business Intelligence)導入支援サービスとしてパッケージ化していた「BW PACK」もリニューアルされた。これまでは2カ月/2000万円で提供していたオールインワンパッケージが、2カ月/1600万円(税込)で提供される。

 「こうしたソリューションを出すことで、中小企業にもSAP製品を検討してもらえると考える。既存顧客だけでなく、他社のソリューションを選択した顧客でも、その短納期・低コストには驚くはず」(日本HPマーケティング統括本部アライアンスマーケティング本部SAPアライアンスマネージャの渡辺篤氏)

渡辺氏 「F1 Pack」や「BW PACK」などの短納期・低コストのSAPソリューションに自信を見せる渡辺氏

 短い納期で低コストのソリューションは、ノウハウの蓄積だけで可能になるものではない。現在、日本HPにはSAPの専任組織が存在しており、技術者だけで100人を超える体制でSAPビジネスに臨んでいる。

 .Netなどの技術が技術者のコアスキルとして求められるのとは異なり、SAPビジネスでは、コアコンピタンスとしてスキルまたはノウハウが要求される。それを一カ所に集めて組織化する、という明快な考えなくしては、SAPビジネスの成功はおぼつかないといえる。

 こうした姿勢は顧客にも受け入れられている。日本HPは、SAPユーザーの顧客満足度調査や実績などの総合評価において、高く貢献したパートナーに授与される「SAP Award of Excellence」を複数の部門にわたって受賞している。テクノロジーパートナー部門では7年連続、サービスパートナー部門では5年連続の受賞だ。さらに今年はプロジェクト・アワードも受賞している。7年連続のテクノロジーパートナー受賞、3部門での受賞という快挙を成し遂げたSAPパートナーはHPだけだ。

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