「Symmetrixはとにかく速い」とカブドットコム証券EMC Forum 2004 AUTUNMレポート

「EMC Forum 2004 AUTUNM」では、ユーザー代表としてオンライン証券会社のカブドットコム証券の齋藤正勝社長が講演。「とにかく速い」「TimeFinderを気にっている」と、Symmetrixに高い評価をしている。

» 2004年11月03日 02時42分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 11月2日、EMCジャパンの年次プライベートカンファレンス「EMC Forum 2004 AUTUNM」が開催され、ユーザー代表としてネット証券会社、カブドットコム証券の齋藤正勝社長が基調講演を行った。

 同社は、EMCのハイエンドストレージ「Symmetrix DMX」のユーザー。「とにかく速い」「TimeFinder(オンラインバックアップ機能)を気にっている」と、齋藤氏は講演の中でSymmetrixに高い評価を下している。

齋藤正勝氏 「Symmetrixは正直高い」と本音も除かせるカブドットコム証券の齋藤社長。しかし、同氏はトラブル時にその価値を知ったという。

 カブドットコム証券では、Symmetrixというハイエンドストレージで管理しなければならないデータは株券や預かり金など、4Tバイトに及んでいるという。平日で6万人程度のユーザーが株取引を行い、午前9時の取引開始時間直後には、データベースだけで3万セッションが張られるという環境。「銀行のシステムよりも、リアルタイムに変化し、顧客が毎日訪れるのが特徴だ」(齋藤氏)。

 6期連続で増収増益と非常に好調のようだが、これは顧客満足度を重視しているからだ、と齋藤氏は分析する。同社にとって、システムと、データベースと連携したコールセンターは、顧客満足度を追求するための武器。リアルな店舗を持つ証券会社では営業マンがそれに当たるが、ネット証券のカブドットコムにとっては、システムとコールセンターということになる。絶対にアウトソースしないのもそのためだ

 このようにシステムを非常に重要視しているが、EMCのSymmetrixについてはまず、とにかく速いと評価した。「特にUNIX環境のOracle系で実感している。SQL Serverはどうかと言うと、同時に64ビット系Windowsに移行したため、どっちの効果か分からなくなってしまったのだけど」。

 また、オンラインバックアップのTimeFinderの機能には、「Symmetrixは高いと思っていたけど、初めて価値を実感できた」と評価する。合併時のトラブルからの復旧で助けられたという経験があるためだ。

 「リハーサルをやっているにもかかわらず、合併で税金の勘定が合わなくなってしまった。そこでどうするかというと、Symmetrixで元に戻して救われた。Symmetrixは高いと思ったけど、初めて価値を実感した」

何でも数値化する、ITビジネスのコツ

 齋藤氏は、ITビジネスのコツも述べている。その一つは、「明確で具体的なビジョンの上でサービスをする」というもの。よく分からないものは、数値化するという考え方で、同社では顧客にも点数を付けているという。数値化することで、すべてデータベース化でき、アプリケーションにつなげられるという発想が根本にある。

 「お客様のクレームは声の大きな人のものが通ってしまいがち。しかし当社では90点のお客様が、60点のお客様が、と必ず点数をつけて対応するようにしている」

 またISO9001をフレームワークを利用して、情報システム部門の働きも数字で評価できるようにしているともいう。数値化により、ルーチンワークでも「ダレない」仕組みができるという。そのほか、データベースの鮮度を保つのも秘けつとして挙げた。

 そして、システム基盤を完全なオープンシステムにすることも、同社が基本としている大きなコツだ。勘定系を含めプロトコルをTCP/IPに統一しするなどつながりやすさを重視し、システムの設計も、リポジトリとなるデータ層を中心にすることを徹底しているという。

 最後に齋藤氏は、システム担当者の聴衆にエールも送る。「これからはシステム屋さんにもチャンスがある。今までは営業出身者が幹部になり、システム部門の長は天下り先という感じがあった。しかし今、経営者はシステムに注目している。もともとはシステムやだった自分も、なぜか証券会社の社長をやっているくらいだ」。

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