「われわれの夢が実現しようとしている」── 全米で次の4年間を託す大統領選挙が実施される中、Salesforce.comのベニオフCEOは、「オンデマンドソフトウェア」に企業の未来を託すよう訴えた。
米国時間の11月2日火曜日、全米で大統領選挙が行われる中、Salesforce.comは、カリフォルニア州サンフランシスコで年次ユーザーカンファレンス「Dreamforce 2004」を開催し、「オンデマンドソフトウェア」に企業の未来を託すよう訴えた。
この夏、Googleがナスダック上場で大成功を収めて羨望の的となったが、Salesforce.comも6月、ひと足先にニューヨーク証券市場への上場を果たしている。まだ30歳代半ばだったマーク・ベニオフ会長兼CEOが1999年に設立したオンデマンドCRMのリーダーだ。そのティッカーシンボルは「CRM」というのも奮っている。
この日、サンフランシスコダウンタウンの由緒ある劇場、Golden Gate Theatreで行われたオープニングのゼネラルセッションには、Salesforce.comの幹部らはもちろん、Sun Microsystemsのジョナサン・シュワルツ社長兼COOやCisco Systemsのブラッド・ボストンCIO、元Oracle社長兼COOで現在は有力ベンチャーキャピタルのゼネラルパートナーのレイ・レーン氏、そして最近BEA SystemsからGoogleに移籍したアダム・ボスワース副社長らが顔をそろえている。
Salesforce.comのベニオフ会長兼CEOは、劇場を埋めた約2000人の顧客やパートナーらを前に、「昨年、ウェスティンホテル(初のDreamforce)に集まったのは3分の1に過ぎなかったことを考えると、オンデマンドCRMは驚異的な成長を遂げている。ソフトウェアデリバリーを変革するというわれわれの夢が現実になろうとしている。それは顧客であるあなたの夢でもある」と話した。
ベニオフ氏は1998年、Amazon.comがオンライン小売業者向けにアプリケーションをサービスとして提供し始めたのを目の当たりにし、「なぜ、エンタープライズアプリケーションもこうならないだろうか」と疑問に思ったという。それが彼の夢の始まりだった。
「従来型のソフトウェアデリバリーモデルは、恐竜のように死に絶える」── まだ39歳のベニオフ氏は挑戦的なメッセージが得意だ。かつてのボスであり、同社への出資者のひとりであるOracleのラリー・エリソン会長兼CEOから学んだのかもしれない。
1990年代半ば、インターネットへ大きく舵を切り始めたOracleで彼は頭角を現した。エリソンCEOの懐刀として同社のインターネット戦略立案に大きな役割を果たし、彼の構想は「Network Computer」(1996年)やインターネット対応データベース「Oracle8i」(1998年)の発表につながっている。Oracleが、「Business OnLine」の名称でビジネスアプリケーションのASPサービスを展開を試行し始めたのもこのころだった。
こうしたことを考えると、ベニオフ氏のオンデマンドコンピューティングモデルへの信念は一貫して変わらない。
Salesforce.comは、今回で17世代目となる「Salesforce.com」と「Supportforce.com」の最新バージョン、Winter '05を発表しただけでなく、「On-Demand Architectuer」と呼ばれるオンデマンドコンピューティングのための全体像も描いてみせた。
ゼネラルセッションのあと、プレスとアナリストらを集めたランチミーティングで彼は、「(今回のDreamforceで)技術にもビジネスモデルにも絶対的な確信を得ることができた」を力強く話した。
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