次世代インテグレーションはビジネスプロセスへの洞察力を提供する新CEOがトータルソリューション「webMethods Fabric」を発表

 米webMethodsは11月8日から10日にかけて、カリフォルニア州サンディエゴで年次カンファレンス「Integration World 2004」を開催。社長兼COOから昇格し、10月4日に新CEOとして着任したばかりのデビッド・ミッチェル氏のお披露目ともなるこのカンファレンスで、同社は新しいソリューションの全貌を明らかにした。

» 2004年11月10日 11時27分 公開
[井津元由比古,ITmedia]

 昨年のIntegration World 2003でwebMethodsは、新たなテクノロジー買収と、それを製品に取り込んだ未来の姿を伝えることに重点を置いた。テクノロジー寄りの話がほとんどだったが、ここでは同社が提供しようとするインテグレーション基盤の構想が語られた。

 それから1年、webMethodsは細かなテクノロジー群を着実に製品に取り入れ、完全なインテグレーションスイート「webMethods Fabric」として世に問おうとしている。それが、Integration World 2004のメインテーマだ。

 初日のゼネラルセッションに登場した新CEOのデビッド・ミッチェル氏は、「あらゆる企業は、ライバルと差別化するためのアイデアを持っている。しかしながら、パッケージ・アプリケーションを使うだけでは、せっかくのアイデアをビジネスプロセスに落とし込むことは不可能。われわれは、企業の“想像力”を低コストにIT化するための基盤を提供したい」と会場に語りかける。

「ビジネスのプラットフォームになる製品は、企業のITとビジネスプロセスを可視化するだけでなく、企業に価値を提供するものでなければならない」とミッチェル氏

 同氏は、インテグレーションの第1世代を1対1のシステム/データ連携に置く。第2世代はビジネスプロセスをベースとしたn対nのシステム連携で、「われわれの顧客の約半数はこのレベルに達している」という。そして、今回発表されたwebMethods Fabricは、第3世代に位置づけられる。

「第1世代は限定的なツール。第2世代では、プロアクティブにビジネスプロセスをとらえられるようになった。今回、われわれの提供する第3世代のインテグレーションは、ビジネスプロセスへの洞察力を得られるものだ」(同氏)

 同社は、webMethods Fabricで「Business Process Productivity」(ビジネスプロセスの生産性)を高めることができるという。以下、この次世代スイートを具体的に見ていこう。

新スイートを構成する4つの要素

 webMethods Fabricは、webMethodsが提供するスイートの名称だ。これは、複数の機能群から構成されるものであり、実質的に何らかの機能を持つわけではない。いわゆるブランドだ。

 このスイートの機能を大きく区分けすると、4つの機能群から構成されることがわかる。「Enterprise Service Platform」(ESP)、「Business Process Management」(BPM)、「Composite Application Framework」(CAF)、および「Business Activity Monitoring」(BAM)である。

 BPMとBAMは一般用語なので解説の必要はないだろう。ESPはFabricのインテグレーション基盤として機能する。CAFは基盤部分でサービスとしてハンドリングしたアプリケーション間のトランザクションをコンポジット・アプリケーションに置き換えたり、新たなコンポジット・アプリケーションをデザインするための環境になる。

 なお、前バージョンのwebMethods 6.5にFabricと呼ばれるコンポーネントが存在したが、この名称がどうなるか、現在のところは未定だ。実際に、Fabricはアプリケーション間のトランザクションを網羅的に管理するひとつの共通基盤であり、すべてのトランザクションを一元管理するためのコンポーネントだったため、これをスイートそのもののブランドとする流れは理解できる。

ビジネスプロセスの最適化を支援

 これら4つの機能を持つwebMethods Fabricは、これまでのインテグレーションプラットフォームを超えた、新しい側面を持つ。ミッチェル氏が「洞察力」としたポイント。それは、KPI(主要業績指標)と連動してビジネスプロセスを最適化するために、企業の意思決定権者がプロアクティブな行動を起こせることだ。

 ビジネスプロセスをより良いものへと変更するのは人間の仕事だが、webMethods Fabricは現状の問題点をあぶり出してくれる。全社で起きているビジネスイベントをすべてハンドリングする共通基盤として使えば、BAM機能によって、ビジネスプロセスが効率的かどうかわかる。また、各イベントはCAF内でコンポジット・アプリケーションとして描かれているため、BPM機能を使って自在に変更できるのだ。

 今回の講演でミッチェル氏は、「ビジネスプロセスのイノベーション(変革)を支援したい」と何度も訴えた。効率的だと思い込んでいたことが、一度システムを使って数値的に分析すれば、実は非効率だとわかるケースは多い。最適化したつもりのビジネスプロセスにも、非効率が潜んでいると考えれば興味深い。

 webMethods Fabricは米国時間の10月13日に発表されている。

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