PeopleSoftの株主集団訴訟でデラウェア裁判所が和解を却下

PeopleSoftとOracleとの訴訟を担当しているデラウェア裁判所の判事は11月24日、PeopleSoftが同社と対立する株主グループとの間で合意した和解を却下した。

» 2004年11月25日 15時52分 公開
[IDG Japan]
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 PeopleSoftとOracleとの訴訟を担当しているデラウェア裁判所の判事は11月24日、PeopleSoftが同社と対立する株主グループとの間で合意した和解を却下した。

 PeopleSoftは5月に、Oracleの敵対的買収提案を阻止するためPeopleSoftが用いた手法に不満を抱く株主グループが起こした訴訟を解決する和解条件を取り決めた。この和解は、議論を呼んでいる顧客返金保証プログラムの条項を一部変更し、Oracleの提案をめぐる決定を独立取締役にゆだねることにPeopleSoftが合意するという内容。PeopleSoftと原告団は7月に和解合意書を裁判所に提出し、承認を待っていた。

 しかしOracleが買収金額を1株に付き21ドルから24ドルに引き上げたのを受け、PeopleSoftの株主は先週、新たな訴訟を起こした。この訴訟は、原告株主が和解合意書に調印した6月17日以後のPeopleSoftの行動のみを対象としたもの。

 この係争を担当しているデラウェア州の衡平法裁判所のレオ・ストライン判事は、1件の訴訟を和解とする一方でもう1件の訴訟を審理するという、混乱を避けるために和解を却下する決定をした。

 原告株主の弁護団長を務めるPrickett, Jones & Elliottのブルース・ジェームソン氏は、「判事によると、この間の展開に照らし合わせて判断すれば、この和解には、6月17日以前に提起された訴えを放棄するまでのメリットが認められないとしている」と話す。

 PeopleSoftの広報担当者からのコメントはまだ得られていない。

 またPeopleSoftに対するOracleの訴訟で、ストライン判事が12月13日と14日に追加審問のスケジュールを設定したことで、この訴訟が来年に持ち込まれることがほぼ確実となった。Oracleはデラウェア裁判所に対し、PeopleSoftがOracleによる買収を阻止するために用いている複数の乗っ取り防止策を無効にするよう求めている。

 法律専門家によれば、過去の事例から考えると、ストライン判事がPeopleSoftの防御策を無効と判断する可能性は低いという。しかし先週、PeopleSoftの株式の61%の株主がOracleの総額88億ドルの買収提案に応じたことで状況が複雑化している。過半数の株主がOracleの提示価格で売却する意向を示したため、PeopleSoftの取締役会としては、自社の評価額が低すぎるという従来の主張を撤回せざるを得ない状況に追い込まれている。

 OracleがPeopleSoftを買収する上で最も有効な手段は、委任状争奪戦を通じてPeopleSoftの取締役会で過半数の役員席を獲得することだ。2005年に改選の対象となるPeopleSoftの4人の取締役の対立候補者名簿の提出期限は11月25日である。この件に関してOracleの広報担当者はコメントを避けている。

 PeopleSoftは2005年の年次総会の日程をまだ決めていないが、3月〜5月に開催される見通しだ。

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