ビジネスインテリジェンスで新たな付加価値を提供するシーベル

日本シーベルは11月初旬にビジネスインテリジェンス「Enterprise Analytic Application」を展開する新たな戦略を発表した。米Siebel Systems、ポール・ロドウィック氏に話を聞いた。

» 2004年11月25日 20時54分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 CRMアプリケーションを提供する日本シーベルは11月初旬に、ビジネスインテリジェンス(BI)アプリケーション「Enterprise Analytic Application」を展開する新たな戦略を発表した。営業、サービス、マーケティング、財務、購買、人事、経営者など、企業のあらゆる部門の担当者が、社内に蓄積する情報をそれぞれにとって効果的な形で参照し、業務に生かすことができる。

 CRMベンダーとしてのイメージの強いシーベルがBIに本格的に参入する狙いは何か。来日した米Siebel Systems、ポール・ロドウィック氏に話を聞いた。

「次世代BIを提供する」と話すロドウィック氏

ITmedia 今回、BIの領域に本格的に参入した理由は何ですか?

ロドウィック 理由はシンプルで、顧客のニーズがあったからです。SiebelのCRMツールを利用するユーザー企業が、自社に蓄積されたデータをより効果的に活用するために、BIの導入が最適な選択肢だったのです。けれども、従来のBIツールでは、こうした顧客企業のニーズを満たすことができないことが分かったのです。

 われわれは、過去3年間、BIに大きな投資をし、次世代のBIに合わせたアプリケーションを市場に送り込むことにしました。

ITmedia BIという場合、広く言えばバランススコアカードのように、経営者が用いるものがある一方、社員全員が活用するケースもあります。Siebelのターゲットは何ですか?

ロドウィック われわれは、技術に基づいた「洞察力」を分析担当者だけでなく、ビジネスの第一線にいるビジネスマンが使えるものとして提供します。次世代のBIは、単にレポートを出すだけではなく、おのおのの職務に合わせて、正しい情報を正しいタイミングで提供しなくてはなりません。

ITmedia 製品としては、レポーティング、OLAPといったBI分野のうちのどこをカバーしますか?

ロドウィック 従来のBIは、レポーティングやOLAPといった機能の提供が限界でした。Siebel Analyticにはこうした基本的な機能のほかに、システムに組み込み済みのアプリケーションがある点で、他社に差別化することができます。これらのアプリケーションは、業界別のベストプラクティスになっているため、導入が成功する可能性が高くなり、TCOを削減することができます。

 一般に、従来のBIツールでは、データウェアハウスを構築して、さらに、そこからデータを抽出しなくてはなりません。だいたい導入に2年ほどかかり、およそ500〜2000万ドルのコストが発生するのが一般的でした。

 しかし、先日ロスアンゼルスで行われたBIサミットでは、顧客企業がAnalytic Applicationを3〜5カ月で導入した事例が紹介されました。さらに、銀行の事例では、信用リスクに関するレポートを行うアプリケーションを、わずか7週間で導入したことも紹介されたのです。

ITmedia CRMツールとAnalytic Applicationの関わりを詳しく教えてください。

ロドウィック Analytic Applicationは、すでに導入されているSFAなどのCRMツールを完全に統合しています。Siebelのシステムでは、CRMのデータを収集するだけでなく、それを、コンタクトセンターやSFAなどのほかのシステムへと展開することができます。それは、「正しい人に、正しい情報を、正しいタイミングで提供する」という目的を達成することが深く関わっています。

 企業が顧客の履歴情報を取得したいという場合、財務システムやバックエンドのシステムにアクセスしなくてはいけません。そのため、Analyticの導入企業の75%は、クロスエンタープライズに利用しています。

 たとえば、CiscoSystemsは、われわれの分析システムを日本を含めて全世界で利用しています。最初の導入では、ジョン・チェンバース社長を含めたトップ500名の幹部が、リアルタイムにエグゼクティブダッシュボードを使うシステムを構築しました。同アプリケーションを使うことにより、直接販売比率、間接販売比率、パートナー業者の実績など、さまざまなデータを正確に把握できるようになりました。そのため、自社のビジネスにおける問題点をリアルタイムに理解することができます。バックオフィスからフロントオフィスまで、組織全体から情報を取得することで可能になるのです。

 このアプリケーションの導入に成功したため、Ciscoは人事など7つの部門に拡張導入しています。これは、ひとつの成功事例を横展開して全体としてもシステム導入に成功する典型的なケースと言えます。

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