デルが中小企業向けERP、SAP Business Oneの短期導入パッケージ発表

デルが中小企業向けERPであるSAP Business Oneが約2カ月で導入できる「Dell SBO短期導入パッケージ」を発表した。PowerEdgeサーバ、PowerVaultテープドライブ、サービスおよびサポートが含まれ、価格は1500万円から。

» 2004年11月29日 20時02分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 デルは11月29日、SAPジャパンとの提携強化を図り、中小企業向けソリューション「SAP Business One」を提供開始することを明らかにした。

 今年6月中旬、日本市場でも発表されたSAP Business Oneは、中堅・中小企業を対象にしたERPパッケージ。デルでは、同社のPowerEdgeサーバ、PowerVaultテープドライブ、サービスおよびサポートとSAP Business Oneを組み合わせ、約2カ月でシステム導入できる「Dell SBO短期導入パッケージ」として提供する。価格は基本モデルが1500万円からとなっており、mySAP Business Suiteの短期導入ソリューションであるmySAP All-in-Oneと比較しても1/10以下に抑えられるという。

デル浜田社長(右)とSAPジャパンの関谷副社長

 都内のホテルで行われた記者発表会で浜田宏社長は、今回の発表を「今後はデルが本格的なソリューションを提供していく宣言」だとし、「(私が中堅・中小企業の経営者なら)ぜひ導入したい」と話した。

 一方、同席したSAPジャパンの関谷泰朗副社長は、「SAP Business Oneは既存顧客とは違うマーケットを狙った製品。中小の顧客を知り抜いているデルのようなパートナーと提携することが、SAP Business Oneのビジネスモデルそのもの」と話し、中小企業市場に強いデルへの期待感を示している。

 IDCによれば、デルは今年の第2四半期も、従業員499人以下の国内中堅・中小企業市場におけるIAサーバ出荷台数シェア第1位を獲得した。しかも第1四半期の25.3%から32%と伸ばし、2位とも10ポイント近い差をつけての圧勝だ。これで2002年第2四半期以来、9四半期連続して首位の座を守っている。

 ちなみにすべてのセグメントでは、1997年の参入発表以来、わずか6年半で20%のシェアを獲得、NECと肩を並べ、2004年は首位の座をうかがう勢いだ。

 デルで中小企業向け事業を担当する天野総太郎ビジネスセールス本部長は、「中小企業であってもデルは直販モデルによって顧客との関係を築き、きめの細かい提案ができる」と、その強みを話す。「今後はインフラだけでなく、中小企業の基幹業務システムの構築分野でもナンバーワンを目指す」とも。

 同社ではこれまでにもインフラをプロプライエタリから業界標準のIAサーバ+Windows、あるいはIAサーバ+Linuxへの移行支援サービスを提供し、実績を上げてきたが、今回のように本格的なアプリケーションの領域まで踏み込むのは初めて。

パートナーらと業種向けモデルを開発

 SAP Business One短期導入という新しいソリューションの提供には、パートナーの力も借りる。

 SAP Business Oneの導入にあたっては、技術コンサルティング部門であるデル・プロフェッショナル・サービス(DSP)がコンサルテーションを提供するものの、実際のシステム構築は以下のようなDSPパートナーが行うという。

  • アイ・ティ・フロンティア
  • インテック
  • エグゼック・コンサルティング
  • 住友コンピューターサービス
  • ダイヤモンド富士ソフト
  • ノムラシステムコーポレーション
  • パーソナル情報システム

 今回、Dell SBO短期導入パッケージの第1弾として基本モデルと共に「Dell SBO短期導入パッケージ:金融・保険業モデル」(1980万円から)も同時発表されているが、これはパーソナル情報システムが同業種向けに開発したアドオンプログラムを含んだもの。デルでは今後、各業種向けのモデルを順次追加していくとしている。

 デルのSAP Business One事業は既に欧米でもスタートしているが、こうした業種向けのモデルを用意するのは日本独自の試みという。

 なお、国内の中堅・中小企業向けERP市場は542億円。2010年には1067億円へと成長が見込まれている(ノーク・リサーチ調べ)。

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