DBシステムの安定稼働に聖杯があった――Oracle On Demandの実力を探る(2/2 ページ)

» 2004年11月29日 20時24分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
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アウトソーシングと自社の運用スキルの兼ね合い

 Oracle On Demandで監視される項目/パラメータは、システムのパフォーマンス管理、テーブル領域など幅広く想定されている。1つ1つの項目にはあらかじめしきい値が設けられており、それを超えると、アラートとして日本オラクル社内に常駐するエンジニアに報告される。エンジニアはアラートの重要性に応じ対策を講じるとともに、ビー・ビー・ケーブルの担当者に現状に対する考察と、今後の指針を加えた回答を返す。このエンジニアの障害対応力にも満足しているという。

 だが、Oracle On Demandのような、いわゆる「アプリケーションマネジメントサービス」の導入で懸念されるのは、「アウトソーシングを導入すると、システムに対する目が鈍り、次のシステム構築の時にそこがボトルネックになる危険性がある」と益満氏も指摘するように、自社に運用スキルが蓄積しにくいことだろう。しかし、この点については、単なるレポーティングにとどまらないOracle On Demandの場合は当てはまらないようだ。

「アラートが報告された際、問題がありそうなアラートに関しては、パッチ情報も調べ、パッチの適用を含めたシステムの変更/改善提案を行ってくれる。また、単にレポーティングするだけでなく、そのレポートが意味するものをきちんと報告し、パフォーマンスの向上につながるアドバイスもしてくれるので、勉強になる点が多い」(益満氏)

導入効果も目に見える形で

 Oracle On Demand導入の効果は、すでにさまざまなところで表れている。コスト面で言えば、同社には専任のDB担当者は存在していないため、単純な比較は難しいが、「Oracle On DemandはCPUの数で料金が変わるため正確には言えないが、私たちの例で言えば、優秀なOracle管理者をバックアップ体制も含めて社内で2名雇うことを考えれば絶対的に安い。しかも優秀なOracleエンジニアを雇えたとしても、スピンアウトのリスクもある」(益満氏)という。

 また、2004年2月に頻発していたセッション周りの問題についても、Oracleのエンジニアが膨大なパッチ情報から問題に関係すると思われるものを報告するなど、根本的な解決に向かっているという。

不安要素はないか?

 いいことづくしに思えるOracle On Demandだが、益満氏もこうしたアプリケーションマネジメントサービスを導入するにあたり、懸念することもあったという。

 まずは個人情報の問題。今回は個人情報が含まれるDBではなかったこともあり、それほどシビアな問題ではなかったというが、個人情報が含まれるデータベースであれば、もう少し検討の時間が長くなったと思われる。なお、日本オラクルでは今後、セキュリティマークの取得なども検討しているという。

 また、Oracle On Demandの導入を決めた後のインフラ設計においては、少し時間がかかっている。同サービスでは、日本オラクル側のセンターから、ユーザー企業のシステムへはVPNでアクセスするが、そのフィルタのかけ方に気になる部分があり、この部分で少し時間を取られたと益満氏は話す。この時期はOracle OutsourcingからOracle On Demandと名称変更したばかりのころで、まだ管理側とユーザー側をつなぐひな形のようなものに一部混乱があったのだと推測される。

「これは両者のコミュニケーションが十分に行われていれば簡単に解決できた問題で、Oracle On Demandの問題ではないと思う」(益満氏)

 Oracle製品をもっともよく理解している日本オラクル自身が直接管理・運用を行うOracle On Demandの導入で、ビー・ビー・ケーブルは「放送と通信の融合」をさらに推し進めようとしている。

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