ABAPとJavaの架け橋はSAPの優位性となるか。SAP TechEd'04開催2日目、NetWeaverによる開発環境や実行環境のアプリケーションサーバについて、テクニカルセッションが連なった。
東京・目黒雅叙園で12月3日(木)まで開催中のSAPジャパン主催、テクニカルカンファレンス「SAP TechEd'04」(基調講演、関連記事)。
開催2日目となった12月1日は、同社を始め、協賛のIBM、ノベル、マイクロソフト、サン、インテル、富士通、アドビなどから講師を招き、SAPプロダクトとの連携についてが各セッションで紹介された。主に、Java関連のSAP NetWeaverやSAP Web Application Server(SAP Web AS)、mySAP ERP/CRMなどとの関わりだ。
「SAP NetWeaver開発環境=ABAP開発環境+Java開発環境」と題したセッションでは、SAP NetWeaverプロダクトマネージャのキリングルス氏が登壇し、タイトルに沿ったNetWeaverによる開発手法と、SAP Application ServerにおけるABAP、Javaサポート環境の仕組についてが解説された。
キリングルス氏は冒頭でSAP NetWeaver(以下、NetWeaver)の概要について語り「ABAPとJavaをいかに接続するかが課題のひとつになっている」と言及した。
また、SAPにおけるESA(Enterprise Service Architecture)は、どのように捉えるべきかについてキリングルス氏は、「まずは既存サービスで提供されるべき概念であり、エンタープライズサービスの上にプロセス統合などを行っていくべきもの。導入前よりも柔軟なシステムにならなければならない」と語る。
「NetWeaverは、ESAに基づくソリューション実現の基盤」とキリングルス氏。
アプリケーション動作環境となるSAP Web Application Serverは、リクエスト解釈にJavaとABAPスタックが構成され、それぞれの記述言語をサポートする。開発環境のNetWerverはコンポーネント概念でBW、EP、XI、MI、MDMで構成し、各コンポーネントがSAP Web Application Server上でサポートされている、と関連性について語った。
SAP Web Application Serverが内部でどのような処理を行っているかについて、接続、プレゼン、パーシスタンス部があると解説する。
接続部では、リクエストの判別を行い、ABAPかJavaかを判断することで架け橋を実現している。プレゼン部では、Web DynproはABAP、Java両方に利用する統合環境の実現。パーシスタンス部は、データベース利用に関わる処理であると示し、ソースコードからは特に気にせず利用できる環境提供が優位性であると語る。
ソースからのDB指定法について、「一般的にJavaでは、DBを扱う際、特定ドライバ(JDBCなど)を指定しなければならない。その点を解消することができ、JavaやABAPコードを役立てることができる」とキリングルス氏。さらに、「SAP Java ConectorによってABAPとJavaをつなぐ役割も担っている。プラグインとして、Enterprise Conector内で使用することができるもの」とのこと。
一方、「SAP Web Application Serverは、前身となる実績がない製品ではなく、R/3 Basisをベースにこれまで3階層で実現されてきたもの。バージョンアップを経て進化している」とキリングルス氏。これまでのJavaとWebサービス対応を振り返り、2000年にはネイティブなWebアプリケーションサーバ実装で名称改訂、2002年にはJ2EEエンジンを組み込んできたと言い、常に新たなテクノロジーを採り入れていることを強調した。
新版では、ソフトウェアライフサイクル管理やABAP管理も追加されている点が大きなポイントだ。
中でも、プロセスフォームによるアドビと関わるPDFサポートで印刷手段の確立、そしてXML変換ではドキュメントからの変換が従来比10倍を誇るパフォーマンスを記録しているという。さらに、「Shared Object機能は、SAP Web Application Sserverのメモリ消費を軽減する際に役立つ」とキリングルス氏。
Javaアプリケーション開発環境についてキリングルス氏は、「SAP NetWeaver Developer Studioは、Eclipseフレームワークに基づいており、Web DynproはUI開発向けのもの」。SAP NetWeaver Developer Studioの特徴について、ローカルPC上の開発環境だけでなく、チーム開発についても工夫が採り入れられていることが言及された。
この点は大きな課題となったと強調され、プロジェクトを管理すべき仕組みには、「デザインタイムリポジトリ」(DTR)ツールによるソースコードのバージョン管理を実現。「コンポーネントビルドサービス」(CBS)はビルド環境を一元化するもの。開発環境での名称重複を防ぐネームサーバも用意し、ネットを介す開発環境を実現していると語った。
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