Intel、2種類の「デスクトップ版Centrino」を計画

Intelが計画する2つの新ブランドは、CentrinoのようにCPUとチップセットなどをセットにしたもので、デジタルホーム向け、デジタルオフィス向けに立ち上げられる。(IDG)

» 2004年12月02日 14時28分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Intelの計画に詳しい情報筋によれば、同社はノートPC向けのCentrino技術を家庭向けブランドとして確立させたのと同様の方法で、デスクトップPC向けに新たなブランドを確立させるためのマーケティング戦略を準備している(11月11日の記事参照)

 情報筋によれば、デスクトップPC向けの新しいマーケティング戦略には2つのブランド名が含まれ、1つはデジタルホーム向け、もう1つはデジタルオフィス向けとなる。コンシューマーは近く、ビデオのストリーングやワイヤレスメディアへの対応、PCのセキュリティ強化などに関して、Intel技術のメリットを聞かされることになり、一方で企業顧客には、セキュリティが強化され、中央で一元管理やパーティショニングを行えるようなPCが売り込まれることになるという。

 このコンセプトはノートPCでうまくいっている。CentrinoはIntelの3種類の製品を表すブランドだ。CentrinoノートPCを販売しているベンダーは、Pentium MプロセッサとIntel 855チップセット、およびIntel Pro/Wirelessチップを備えたシステムを販売している。こうしたベンダーは、CentrinoノートPCとCentrinoロゴを積極的に売り込む広告キャンペーン用にIntelから補助金を受け取っている。

 Intelは、同社が「プラットフォーム化」と呼んでいる、こうした新たなコンセプトについて既に明らかにしており、来週ニューヨークで開催する金融アナリスト向け説明会でさらに詳しく説明する方針だ。Centrinoの場合と同様、デスクトップ版のキャンペーンもプロセッサ自体にフォーカスを置くというよりもむしろプラットフォームブランドの発展に力を入れることになる。

 このデスクトップキャンペーンが本格的に始まるのは、2005年半ばから後半にかけてとなる見通し。Intelはその時期から、デュアルコアプロセッサのほか、「Ts」という総称で呼ばれる各種の新プロセッサ機能の提供を開始する。新しいプロセッサ機能には、保護されたコンテンツを格納するハードウェアベースのセキュリティ技術「LT」(LaGrande Technology)や、問題のあるPCをIT管理者がリモートシステムから管理するための「iAMT」(Intel Active Management Technology)などがある。

 デュアルコアプロセッサやこうした新機能に対応するチップセットが提供されるのは2005年6月頃となる見通し。Intelが従来、新しいチップセット技術を投入する季節だ。同社はおそらく一部の新機能については、2005年か2006年に対応ソフトが登場するまでは始動させないだろうが、マーケティングのメッセージの準備は2005年6月までには整うはずだ。

 Centrinoと同様、デスクトップブランドもそれぞれ、個別の部品で構成されることになる。プロセッサとチップセットがそのコンポーネントとなるのはまず確実だが、Intelは3つ目のコンポーネントとして、組み込みワイヤレスアクセスポイントの計画をデスクトップチップセットで復活させる可能性がある。同社はさらに、キャンペーンの一環として、チップセットのグラフィックス・オーディオ技術も売り込むことになるだろう。

 Intelの広報担当者は、デスクトッププロセッサのマーケティングに関する今後の計画についてはコメントを断っているが、Centrinoキャンペーンの成功を思えば、同社がデスクトップでCentrinoスタイルの戦略を追求したとしても不思議はないと述べている。ただし、そうした計画について発表できることは今の時点では何もないという。

 Intelは何年も前から次世代の携帯電話やノートPC技術、デジタルホーム、ハイエンドサーバなどにフォーカスしてきたにもかかわらず、同社にとってはデスクトップPC向けのプロセッサが依然として主要なビジネスだ。

 調査会社NPD Techworldのリサーチディレクター、スティーブン・ベーカー氏によれば、現在デスクトップPCの売上はノートPCよりも約64%対36%の割合で上回っている。ノートPCの出荷台数のほうがはるかに高速な勢いで成長しているものの、多くのコンシューマーや企業は依然として低価格デスクトップのシンプルさを好んでいるという。

 IntelとPCパートナー各社は従来、とりわけ2000年のPentium 4のリリース以来、クロック速度とパフォーマンスの高さでデスクトップを販売してきた。メッセージは「クロック速度がアップすれば、パフォーマンスもアップし、ユーザー体験もアップする」というシンプルなものだった。

 だがIntelは、最近ではPentium 4プロセッサのクロック速度を強化し続けることが以前よりも難しくなっていることを認識。クロック速度の偏重を止め、パフォーマンスの指標として、プロセッサ設計のそのほかのコンポーネントに重点を置き直さなければならなくなっている。

 Intelは、今後はコンシューマーPCのセキュリティや企業向けシステムの管理性を強化することで、ユーザー体験の改善につなげたいと考えている。メインストリームのデスクトップユーザーの大半は、自分のシステムをパフォーマンスの限界まで使うことはない。インターネットの閲覧やワープロ文書の作成程度にしかPCを使わないのであれば、なおさらだ。Intelはセキュリティの脅威から自らのPCを守るため、あるいはホームメディアネットワークを構築するためであれば、こうしたユーザーも新しいPCを購入するだろうと考えている。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ