MSが敗訴したIEの特許侵害問題の控訴審が、9日に開かれる。
以前、Internet Explorer(IE)による特許侵害を事実と認定し、Microsoftに5億2060万ドルの損害賠償を命じる陪審評決を下した裁判の控訴審が、米首都ワシントンで12月9日に開かれる。
この訴訟はEolas Technologiesとカリフォルニア大学がMicrosoftを相手取って起こしたもの。Eolasは1999年、双方向コンテンツをWebサイトに組み込む技術をIEに不正流用されたとしてMicrosoftを提訴。その後、カリフォルニア大学も訴訟に加わった。
陪審は2003年8月、Microsoft敗訴の評決を下し、同社に損害賠償の支払いを命じた。シカゴの米連邦地裁判事も2004年1月、この陪審評決を支持している。
だが、専門家らは判決に反発し、特許認可前に先行技術が存在していたためこの特許は無効とされるべきだと主張。World Wide Web Consortium(W3C)ディレクターのティム・バーナーズ−リー氏は、米特許商標庁長官に、特許の無効化を要請した。
米特許商標庁は昨年末、特許の再評価に同意し、今年3月にはこの特許を否定する方針を決めた。だが特許保有者のカリフォルニア大学は、この決定を不服として上訴。
米特許商標庁での審査もまだ続いているが、ワシントンの連邦控訴裁では9日に控訴審が開かれる。Microsoftは控訴審で特許の有効性に疑問をぶつける予定。「陪審法廷では、重要な先行技術の証拠が検討されなかった」と同社広報担当のジム・デスラー氏は語っている。
一方、カリフォルニア大学の特別プロジェクト/ニューメディア担当部長、トレイ・デービス氏は、同校およびEolasは勝訴する自信があるとする。「この特許は当校に対して適切に認可されたものであり、Microsoftが特許を侵害したという陪審評決は正しい。Microsoftはわれわれに5億ドル以上の支払い義務がある」と同氏。
カリフォルニア大学が米特許商標庁から特許(5,838,906号)を認可されたのは1998年11月。この特許がカバーする技術は研究者のマイケル・ドイル氏(後にEolasを創業)が開発したもので、特許では、「ブラウザプログラムの利用者が、組み込みプログラムオブジェクトのアクセスと実行を行えるようにするシステム」などを規定している。
控訴審は長期には及ばず、9日中に結審の見通し。
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