デルのエンタープライズソリューションで実現するスピード経営Dell Enterprise Showcaseレポート(1/2 ページ)

デルは「Dell Enterprise Showcase“デルのエンタープライズ・ソリューションで実現するスピード経営”」をテーマにしたイベントを開催した。基調講演には浜田宏社長登場し、同社が自らデル製品の実証の場になっているとし、IT戦略の優位性について強調している。

» 2004年12月08日 21時48分 公開
[大河原克行,ITmedia]

 デルは12月8日、都内のホテルで「Dell Enterprise Showcase“デルのエンタープライズ・ソリューションで実現するスピード経営”」をテーマにしたイベントを開催した。ユーザー企業の情報システム部門や経営者などが一堂に介したこのイベントのオープニングスピーチとして、デルの浜田宏社長が登壇した。

「このイベントを通じて、ITをいかにマネジメントに使うか、生かすかといったヒントや考え方を持ち帰ってもらいたい」と前置きし、「デルがいかにITをマネジメントに活用しているかについてご紹介したい」としてデルのIT戦略を説明した浜田氏。

 デルは周知の通り、世界最大のパソコンメーカーだ。今年度の売り上げ見通しは、5兆円規模を見込んでいる。オンライン販売だけで日本で数千億円規模、全世界で数兆円規模のビジネスを展開する世界最大のオンラインストアであり、それを効率的に運営するためのサプライチェーンシステムを稼働させている。そして、自社のビジネスプロセスを支えるITシステムの99%以上に、自社のハードウェアを利用している。デル自身が、同社製品の検証の場であるとともに、同社が打ち出すコンセプトや方向性が間違っていないことを実証する場にもなっているわけだ。

 浜田社長は、「ITシステムはデルの企業戦略そのものであり、デルのスピード経営と切っても切れない関係にある。そして、それを多くのユーザー企業にも提供するための手段を常に考えている」と話す。

デルIT戦略の3つの柱

 デルには、IT戦略において3つの柱がある。1つは「標準技術の採用」だ。浜田社長は、自社の役割について、「独自技術をゼロから開発し、それを広めていく会社ではない」と言い切る。

 「独自技術の製品は、巨額の開発投資がかかる一方で、市場スケールが小さい。そのため、投資を回収するために顧客に高く販売することが前提になる。そして、高く売るためには、ほかのベンダーに逃げられないようにユーザーを囲い込む戦略に打って出ざるを得ない。結果として、ユーザーは特定の技術やメーカーに縛り付けられ、ほかのシステムに移行するためのスイッチングコストが高くなる。それではユーザーにとって最適な環境とは言い難い」(浜田氏)

 これに対して、デルが追求しているのは、「デファクトスタンダードの技術を使い、これを広めていくこと」だという。

 標準化した技術を使った製品は、多くのベンダーが参加することから競争が激しくなる。逆に言うと、ユーザーには、製品やメーカーの選択肢が広がるというメリットがある。メーカーは、ユーザーの厳しい選択眼の中で、品質や性能を高める努力を繰り返すことになり、これも結果としては、ユーザーの利益につながる。「厳しい環境のなかでベネフィットを出せるメーカーへと成長する努力は、ユーザーのメリットに直結するのは間違いない」と浜田社長は言い切った。

 2つめの柱は「スケールアウト」戦略だ。多くのコンピュータメーカーが打ち出しているのが「スケールアップ」による戦略であるのとは対照的だ。浜田社長は、スケールアウトがもたらす価値の大きさを次のように説明した。

 「スケールアップとは、最初に数兆円もする大きなシステムを導入し、その後の企業規模の拡大に対応していくというもの。しかし、実態はCPUリソースの15〜20%程度しか利用されず、投資が十分に生かされてはいない。また、長期間に渡って特定の企業のサポートを受けることになるため、運用コストが高くなったり、移行が難しいという問題も出てくる。これに対して、スケールアウトならば、標準技術を用いたサーバやストレージを、ビジネス規模の拡大やトランザクションデータの増加に合わせて追加するアプローチでシステムを拡張できる。スケールアウト戦略は、ユーザー企業にとって、コスト面の優位性という直接的なメリットに加えて、IT投資を固定化しないために、柔軟性を持った戦略的なIT投資が可能になることを可能にする。さらに、それぞれの時点で最新のテクノロジーを搭載したサーバやストレージを導入できること、常にビジネスとの整合性を取りながら投資を進めるために、ITとマネジメントが緊密な連携をとり、同期した形での投資が進められるといったメリットもある」(同氏)

 デルのIT戦略の3つめの柱は、「ITマネジメントシステム」としての取り組みだ。デルのIT投資には、一般的なユーザー企業にはあまり見られない特徴がある。

IT投資は売上高の1%

 その1つが、IT投資投資比率の低さだ。一般的に、企業のIT投資は売上高の約5%と言われる。一方で、デルはこの数値を、従来は1.8%、さらに、現在では1%にまで引き下げたという。こうした低い投資比率で先進の情報システムを構築できる背景には、標準化、スケールアウトの特性を生かしたシステム構築がある。「この低い投資比率が、他の戦略的投資を可能とし、さらなる成長へとつなげることができる」というのも頷けるところだ。

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