10g R2でアプリや情報までグリッドを拡大するOracleOracle OpenWorld 2004(1/2 ページ)

Oracle OpenWorld 2004は3日目を迎え、サーバテクノロジーを統括するロズワット執行副社長が登場し、「10g R2によって、すべてのITリソースまでグリッドを拡大する」と話した。

» 2004年12月09日 10時23分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 米国時間12月8日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の「Oracle OpenWorld 2004 San Francisco」は3日目を迎え、午前のキーノートにサーバテクノロジーを統括するチャック・ロズワット執行副社長が登場した。彼は、仮想化とプロビジョニングによって優れたパフォーマンスとローコストコンピューティングを実現したOracle 10gのエンタープライズグリッドが、今回のOracle OpenWorldで発表された一連のRelease 2製品群によってさらにその領域を拡大していくとした。

 「10g Release 1はインフラに特化しているが、Release 2では“すべてのITリソースのためのグリッドコンピューティング”へと進化する」とロズワット氏。

「情報のグリッド化を推進する」とロズワット氏

 Oracleが定義するグリッドコンピューティングは、とどのつまり「仮想化」と「プロビジョニング」だ。アプリケーションサーバやデータベースサーバからストレージまで仮想化してプールし、人やプロセスがそれを必要とするときに適切に割り当てることでパフォーマンスとコスト節約を可能にする。

 Release 2では、Oracle流グリッドのキモである仮想化とプロビジョニングをアプリケーションや情報にまで拡大する。

 「RDBがここまで広まったのは、情報を特定のアプリケーションにひもづけるのではなく、さまざまなアプリケーションから取り出すことができたからだ」と、旧ディジタルイクイップメント(DEC)の時代からVAX Rdbに携わったロズワット氏は振り返る。ちなみにOracleは1994年、DECのRdb部門を買収し、そのパラレルおよびクラスタ技術をOracleデータベースに統合し、優れたスケーラビリティと高可用性の基礎としている。

アプリケーションのグリッド化

 Oracleは、昨年秋のOracle Worldで「10g」を発表、同ブランドの傘の下にエンタープライズグリッドコンピューティングを実現する製品群を位置づけてきた。今回のOracle OpenWorldでは、そのファミリーに多くの仲間が加わっている。初日に発表された「Oracle Business Intelligence 10g」、そしてこの日発表された「Oracle Collaboration Suite 10g」だ。

 もちろん、かつてからあるOracle Database 10gやOracle Application Server 10g、Oracle JDeveloper 10gもRelease 2がベールを脱いでいる。

 そのApplication Server 10g Release 2の新機能としてロズワット氏が紹介したのは、「Application Server Guard」機能だ。データベースサーバのスタンバイシステムを構築するData Guardの機能をアプリケーション層にも拡大するもので、シングルサインオンやビジネスインテリジェンスなどの冗長システムを構築するのに役立つ。

 もっとも、Application Server 10g Release 2の最大の強化点は、SOA(サービス指向アーキテクチャ)の基盤としてBPELベースのBPM(Business Process Management)機能やBAM(Business Activity Management)機能を搭載したことだ。Oracle Enterprise ManagerがITリソースのさまざな数値を収集するのに対して、BAMはビジネスプロセスに関する数値を把握し、ビジネスプロセスを改善していく役割を担う。ビジネス環境の変化に追従できる柔軟なシステムは、SOAとグリッドがクルマの両輪として機能して初めて実現できるのだ。

 ロズワット氏もSOA機能の強化について時間を割き、「われわれこそ、SOAのためのメカニズムを提供している」と胸を張った。

 ステージでは、「INSTA LOAN」と呼ばれる仮想の金融サービス会社を例に、SOA機能のデモも行われた。

 デモでは、JDeveloperを使ってビジュアルにサービスコンポーネントを組み合わせ、ビジネスプロセスを自動化したり、既存のプロセスに、例えば、電話でローン申請の審査結果を自動通知する、といった新しいプロセスを簡単に追加してみせた。また、BPEL Consoleも用意されており、ビジネスマネジャーはローン申請の案件ごとにどこまで進捗しているかをビジュアルに把握できる。

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