システムの「コクピット運用」をサポートする東芝ソリューション

東芝ソリューションはITインフラ管理、ITサービス管理、ビジネス管理の3つのレイヤーで運用管理を捉え、サービスや製品を提供している。同社のソリューションについて紹介する。

» 2004年12月13日 11時06分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 現在、ITソリューション業界に関わる多くの人々が、「IT部門がコストセンターからプロフィットセンターへ移る」というテーマに注目している。これまで、経営者の多くは、情報システムへの投資については、利益を生み出す投資とは捉えていなかったが、この潮目が変わりつつある。

 それは、ITとビジネスの関係を根本的に見直し、長期的な視点で最適化していく活動であるエンタープライズアーキテクチャ(EA)への関心が非常に高いことからも分かる。ERPやSCM、それを支えるデータベースやサーバなど、企業のビジネスはITと密接に絡み合っており、複雑なビジネスの世界を把握し、それをITが的確にサポートする仕組みを確立することは、売り上げの拡大、コスト削減の両方の側面から、企業の競争力を押し上げると言える。

 EAを実現するためのツールやサービスも登場している。東芝ソリューションは、ネットワークやサーバ、ストレージなどを対象とする「ITインフラ管理」、サービスレベルや可用性、変更管理を含む「ITサービス管理」、ビジネスプロセス管理やBAM(Business Activity Monitoring)などの「ビジネス管理」の3つのレイヤーで運用管理を捉え、サービスや製品を提供している。

 同社プラットフォームソリューション事業部で運用管理ソリューショングループのリーダーを務める花井克之氏は、「企業システムにおける管理の対象は、機器単体ではなく、ビジネス全体へと拡大している」と話す。同社のソリューションを利用することで、全体管理者は情報システムの状態を詳細まで含め、パイロットのように一目で把握することができる。

東芝ソリューションの花井氏

CIOがシステムの状況をビジュアルに把握

 今回は、最上位のレイヤーであるビジネス管理に注目してみる。ここで、「ITとビジネスのギャップを超える」と花井氏が自信を持つ同社のアプリケーションが「ビジネスインパクト管理ソリューション」だ。経営者やCIOが、自社のビジネスやそれを支えるシステムのリアルタイムの状態を理解し、迅速かつ的確な対応をするためのサポートをするソリューションとなっている。

ビジネスインパクト管理の専用コンソール。日本語表示であることも必須条件という。

 ビジネスインパクト管理の特徴は、情報システムの状態を業務の視点で表している点にある。システムの状態は、「経営管理」「保険契約管理」というようにビジネス毎にそれぞれWeb上の窓に分類され、さらにドリルダウンして、「顧客チャネル管理」「収益/コスト管理」といった項目で管理される。各業務は、正常に稼動して入れば緑、異常が発生していれば赤で表示され、今どういう状況になっているかを経営者やCIOが一目で分かるように工夫されている。

 ビジネスインパクト管理のシステム的な仕組みとしては、まず、ITインフラ管理のレイヤーを支えているツール群が障害を検出し、障害の発生箇所や内容を、連携している上位のITサービス管理レイヤーに送る。ITサービス管理レイヤーでは、ITサービス間の依存関係や、障害による影響範囲が調べられる。そして、こうした情報を集約したものが、最上位のビジネス管理レイヤーの情報として、ビジネスインパクト管理の専用コンソールに表示されるわけだ。

 経営者やCIOは、Web上から企業の情報システムのリアルタイムの状態を一目で確認できる。もし、システムに異常があった場合も、障害の発生場所の特定や、エンジニアによる対応など、復旧プロセスを迅速にこなすことができる。ビジネスインパクト管理は、ビジネスとITを融合させるエンタープライズアーキテクチャの導入を目指す企業を効率的に支援するツールとなっている。

ビジネス管理ソリューションも

 一方、同社では、ビジネスプロセス管理ソリューションも提供している。これは、WSMF(Web Services Management Framework)という標準プロトコルを用いて、EAIやワークフローなどのビジネスプロセス管理ツールと、システム運用管理ツールを連携させることで、システム管理者がビジネスプロセスも監視できるようにするもの。また、システム監視ツールで検出したインフラレベルでの障害情報に基づいてダイナミックにプロセスフローを変更することで、IT障害の業務への影響を軽減することが可能になる。

 東芝ソリューションでは、現在WSMFに対応しているTIBCO BusinessWorksとhp OpenViewをベースにしたソリューションを提供している。これにより、導入企業は、バックエンドとフロントエンドのシステムを効率的に連携させることができる。

 たとえば、消費者が新たに1件の注文を入れると、それをフロントエンドのシステムが最初に処理し、即座にバックエンドのシステムに在庫の有無を確認する。在庫があれば、有効な購買オーダーとして、送料を計算、顧客に納期を回答する。

 当たり前のように思えるかもしれないが、こうしたプロセスは、フロントエンドとバックエンドのシステム間が断絶している企業の場合、かなり時間がかかることが多い。その場ですばやく顧客に回答しなければ、移りやすい購入者の気持ちはどうなるか分からないということになる。

 顧客が注文したい時に、システム障害などでそれに対応できないとすれば、それは企業にとって致命的な損失につながる。運用管理システムが、ビジネスプロセスとITインフラの両方を監視することができれば、システム全体の可用性が高まり、このような機会損失を防ぐことが可能になる。

 次回は、ITILへの取り組みを中心に、よりITインフラに近いレイヤーで東芝ソリューションが提供するサービスを紹介する。

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