デルが支える次世代地図サービス「マピオンラボ」Dell Enterprise Showcaserレポート

「Dell Enterpreise Showcase」において、サイバーマップジャパンの細川克也技術統括本部開発部長が、「マピオンラボ」を支えるデルのインフラソリューションについて紹介した

» 2004年12月15日 19時39分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]

 デルが開催した「Dell Enterpreise Showcase」において、地図サービス「Mapion」を展開していることで知られるサイバーマップジャパンの細川克也技術統括本部開発部長が、同社の次世代地図サービス「マピオンラボ」を支えるデルのインフラソリューションについて紹介した。

マピオンラボへの沿革

 サイバーマップジャパンは、凸版印刷やNTT東日本、電通、ヤフーなどが出資して設立した合弁会社。地図のASPライセンス事業、モバイル・コンシューマー事業、広告事業の3つが柱となる。

 細川氏は「1996年に日本初のインターネット地図情報サイト“インターネット・マーケット・モール(IMM)”のサービスを開始、翌年1月にサイバーネットジャパンを設立、サービス名をマピオンと改称した」と話し、主要サービスであるMapion誕生の背景を話す。

細川氏

 その後、同社は日本初のビジネスモデル特許(Mapion特許)を取得、Mapion Ver.2、Ver.3へとシステムを拡張し、2001年にiモードの公式サイト「i-Mapion」を開設した。また、同氏は、2002年1月にはブロードバンド対応実験サービス「マピオンBB」を公開したことも紹介している。

 現在、マピオンには11のサービスがある。この中で主なサービスとしては、一般ユーザー向けサービス「マピオン」、企業向けASPサービス「カスタムマピオン」、iモード向けサービス「iマピオン」の3つが挙げられる。

 マピオンの現在の1日のアクセス数は700万以上となっており、国内最大のインターネット情報地図サイトと言える。

 主力サービスの1つである地図ライセンス商品、カスタムマピオンは、みずほ銀行など約200社に採用されている。また、iモード公式サービスであるiマピオンは、フリースクロールで地図をグリグリと動かすことができるiアプリサービスだ。地図を駅名などから検索できる地図検索サービス、地図つきのメールを送ることができるコミュニケーションサービスなどが展開されている。

マピオンラボの特徴とサービスの目的

 こうした背景から、2004年11月11日に今回のテーマである「マピオンラボ」が始動した。細川氏は、マピオンラボの特徴を説明する。

 「マピオンラボは、次世代の地図サービスの可能性を検証する実験プロジェクトだ。無料の会員制サービスであり、Java Scriptを使ってマウスドラッグによるフリースクロールを実現している。また、Flashを使ったオリジナル地図作成機能が提供され、さらにサーバ、クライアントの双方でキャッシュ技術を利用して高速に地図を配信可できる」(同氏)

 サイバーマップジャパンは、マピオンラボをどのような目的で開始したのか。細川氏は、それを、地図パーソナライズ機能の提供、地図インタフェース機能の強化、新規採用技術の実証実験、という3つの言葉で説明する。

 「地図のパーソナライズ機能は、地図の個人利用における利便性を追求するもの。さらに、地図表現、操作、検索機能を追求する目的で地図インタフェース機能を強化した。また、Oracle 10g RAC、Oracle 10g ASといった技術を今回採用しており、これによって性能強化の実証実験を行う」という。

 細川氏は各機能を説明し、マピオンラボの今後の展開も語る。

 「今後あっと驚くような便利な機能を考えたい。さらに、マウスアクションの追加、改良などインタフェースをさらに改善していく。さらに重要なのは、ユーザフィードバックの反映だ。実験サービスなので、ユーザーの指摘を反映していきたい」と述べた。

高速かつ安全なインフラを提供するデル

 続いて、マピオンラボのシステム概要として、デルのインフラストラクチャなどの説明が行われた。

 「負荷分散装置をはじめフロントのWebサーバ、地図キャッシュサーバ、Oracle 10gのデータベース(DB)、NFSサーバ、そしてマピオンの地図サーバというシステム構成になっている。地図はマピオンをそのまま利用できる。DBはRACを採用しているが、DB以外のすべてのサーバはデルのPower Edge 1750、DBを稼動させるハードウェアとして、PowerEdge 2650を採用、また共有ストレージのCX300を導入している」(同氏)

 また、DBであるOracle 10gでは、高速バックアップを実現するため、SnapView Cloneを利用している。これによって、従来は数時間を要していたフルバックアップが数十秒で完了しているという。

 同社はシステム検討時に、初期の要望として、フリースクロール地図を実装するためOracle LBS、Spatia技術を採用、また、地図履歴、ブックマークなどのリアルタイム更新、会員制サービスのため会員データの保護にバックアップが不可欠であるといった要件を挙げていた。

 しかし、新たにOracle 9iではなく、将来性のあるOracle 10gを採用すること、リアルタイムに更新するためのデータの一元管理、将来の会員数増大に対応できる拡張性、高速かつ安全なバックアップが可能な環境を実装するべきといった要望が出てきた。

 さらに、サポート面での検討も行ったが、「Oracle 9i/10gのLinux版はデルのプラットホームで開発されていることがポイント。また、Oracleのサポートをお願いしているアシストがデルとOracleに関する技術提携を結んでいることも決め手になった。ハードウェア面での検討では、CX300を使えばSnapView Cloneでデータベースの高速化が可能であることを評価し、Oracle 10g RACとDell|EMCのCX300を採用することになった」としている。

 さらに、「初めてDBのRAC構築を行ったが、特にハードウェアに関してはデルに協力してもらい、DBの構築支援、DB設計支援、特にOracleのSnapViewによるバックアップ・サポートなどを行ってもらった」ことが成功につながったとして、細川氏は高く評価していることを明らかにした。

 マピオンラボのシステムは実質4カ月で完成。11月11日の稼動開始から、順調にシステムは稼働している。

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