SymantecのVeritas買収、アナリストは歓迎

SymantecはVeritasとの統合で、製品ポートフォリオを拡大し、複数の異なる市場分野に取り組めるとしてアナリストは買収を支持している。（IDG）

[IDG Japan]

　米Symantecは12月16日、ストレージ管理ベンダーVeritas Softwareを135億ドルで買収すると発表した（12月16日の記事参照）。アナリストらは、Symantecがバックアップ、リカバリ、アーカイブソフトの最大手サプライヤーになるとして、この発表を歓迎している。

　この取引において、社員数6000人、年間売上19億ドルと急成長中のSymantecが、社員数6700人、年間売上18億ドルのVeritasを飲み込むことになる。両社はそれぞれ20億ドル以上の現金を保有している。Symantecは毎四半期およそ3割のペースで伸びており、Veritasの成長率はその半分以下だ。

　Symantecはかねてから、コンシューマー向けウイルス対策製品の売上を資金に、法人市場への攻勢を進めてきた。同社は、「買収と新たなマーケティングのテーマにより、自らを主要な企業向けセキュリティ管理ベンダーに改革しているが、空白部分も幾つかある」とForrester Researchのセキュリティ担当副社長兼調査ディレクター、スティーブ・ハント氏は指摘する。

　「Veritasは成功したバックアップ・アーカイブベンダーで、この種のソフトへのニーズが高まっているセキュリティ市場への進出を模索している」と同氏。

　SymantecのCEO（最高経営責任者）ジョン・トンプソン氏は、「Veritasの買収により、当社は世界で第4位の、最も急速に成長し、最も効率の高いソフト企業を作り上げる」と語る。

　トンプソン氏はアナリストとの電話会見で、Symantecはストレージ・バックアップ製品のポートフォリオを広げたいと強調。「手持ちの技術が増えた」と語り、VeritasとSymantecはいずれも向こう数週間以内に、特にセキュリティ保護プロセスを自動化するために、将来的にストレージとセキュリティを統合する可能性を模索すると言い添えた。

　VeritasのCEO、ゲリー・ブルーム氏は、両社を統合に駆り立てた要因の1つは、「顧客が取引するベンダーの数を変えたがっている」ことだとしている。株主は買収を支持するだろうと同氏は言う。この取引は、米証券取引委員会（SEC）の承認を受ける必要がある。

　Yankee Groupの上級アナリスト、ステファニー・バローラス氏も、今回の取引をおおむね支持している。

　「VeritasはEMCや、その従来からのパートナーであるOracle、Microsoftなどとの競争が激化している。Symantecは、バックアップ・サーバ管理市場のローエンドを追求できるソフトを有している。（買収により）両社はすべてをまとめて、幾つかの異なる市場分野に取り組めるだろう」とバローラス氏は指摘する。

　両社はこの1〜2年、数十億ドルもかけて幾つもの企業を買収してきた。

　VeritasはKVS、Invio、Ejasent、Precise Software、The Kernel Group、NTPのStorage Reporterを買収した。Symantecは、新興ストレージ管理企業PowerQuest、On Technology、Brightmail、Recourse Technologies、RipTech、SecurityFocus、MountainWave、@Stakeを買収した。さらにSymantecはホストベースの侵入検知システムを手がけるPlatform Logicを買収する（12月10日の記事参照）。

　ウォール街のアナリストは、IT関連アナリストほどにはSymantecのVeritas買収の展望に興奮していないようだ。

　証券・投資会社SG Cowen & Co.は先週、この買収は「長期的な戦略としては良い」が、「統合に向けて大胆な取り組みが必要であり、短期的には大きな執行上のリスクを抱える」との報告書を発行している。

　Merrill Lynchのディレクター、シェルビー・セイラフィ氏は、Veritasはホットな買収ターゲットであり、Hitachi Data Systems、Oracle、IBM、さらにはEMCなど多くの企業が関心を示していたと語る。

　調査会社IDCによると、Veritasはバックアップ、リカバリ、アーカイブ市場で40％のシェアを持ち、データ整理・ストレージの市場では60％を占めている。Symantecと主なライバルのMcAfeeは2003年、20億ドルの企業向けウイルス対策市場でそれぞれ4分の1程度をシェアを握っていた。