MSへの「WMP非バンドル命令」保留なるか――結論は間もなく

欧州委員会がMSに科した「WMP非バンドル」「サーバソフトのコード開示」命令を保留するかどうかが、12月22日に決定される。この決定はむしろ、和解交渉の機会と見られている。(IDG)

» 2004年12月21日 15時21分 公開
[IDG Japan]
IDG

 欧州委員会がMicrosoftに下した独占行為への制裁を控訴審の間保留するかどうかについて、12月22日に決定が発表される。裁判所の広報官が20日に発行した声明の中で明らかにした。

 Microsoftは制裁の一時停止を勝ち取りたい考えだが、22日の判決はむしろ、欧州委員会にさらなる交渉を持ちかける機会になると見られている。

 Microsoftの欧州の顧問弁護士ホレーショ・グティエレス氏は、「当社は、22日の裁判所命令により、欧州委員会の懸念に対処するためのさらなる交渉への道が開けると期待している」と17日の声明文で述べている。

 ルクセンブルグにある欧州第一審裁判所(CFI)が今週決定を下すとの予想は以前からあった。CFIのボ・ベスタードルフ判事は、欧州委員会が3月にMicrosoftに科した2つの制裁を延期するかどうかを審理している。同委員会は、Microsoftがデスクトップソフト市場での独占力を濫用し、メディアプレーヤーなどの関連市場で有利な立場を得たとしてこれら制裁措置を決定した(3月25日の記事参照)

 Microsoftは、欧州でWindows Media Player(WMP)を搭載しないWindowsのバージョンを提供することと、競合他社がWindowsと連係する製品を構築できるよう十分なサーバソフトコードを開示することを命じられた。4億9700万ユーロ(6億5800万ドル)の罰金も科された。同社はこれを既に支払い済みで、この罰金は控訴審の結果が出るまで特別口座に預けられている。

 ベスタードルフ判事がいずれかの制裁措置の保留を拒否した場合、Microsoftはすぐに、おそらくは2〜3週間以内に制裁に従う見込みだと同社に近い筋は伝えている。しかしMicrosoftと欧州委員会は同判事の決定に控訴することが認められており、控訴すれば結論が出るのがさらに遅れる可能性がある。

 同判事は控訴を避けるため、関連するさまざまな法的問題をカバーする広範な判決を下そうとしていると情報筋は語る。控訴してもそれを認めてもらうのは難しく、認められるには、十分に解決されていない法的問題があると説得力のある申し立てをしなくてはならない。

 ベスタードルフ判事が両方の制裁措置の保留を拒否し、さらに控訴請求が行われなかった、あるいは却下された場合は、Microsoftが製品を供給するやり方が大きく変わる可能性があるとアナリストは指摘する。MicrosoftがWMPなしのWindowsのバージョンを提供することになった場合、欧州委員会が2006年に登場する次期版Windows「Longhorn」など、ほかのバンドル製品をどう考えるのかという疑問が浮上してくる。

 しかし、制裁措置が一時停止になり、その決定に対して控訴がなかった場合は、Microsoftは控訴審の結果が出るまで、これまで通りビジネスを続けられる。控訴審終了までには2〜5年かかると見られている。

 Microsoftは、もっと軽い制裁措置を求めて欧州委員会と交渉し、何年にも及びそうな法廷論争を避けられる妥協点を目指しているようだ。

 「当社は今も、関係者間の議論を通じて、これらの複雑な問題が最善の形で解決されると信じている」と同社広報担当者は17日に語った。

 Microsoftは6月に制裁措置の保留を要求した後、この訴訟で同社に敵対していたNovell、Computer and Communications Industry Association(CCIA)と和解した(11月9日の記事参照)。先月これらの和解が発表されたとき、Microsoftの上級副社長兼法務顧問のブラッド・スミス氏は、CCIAとの和解は、欧州での独禁法訴訟の和解に向けた「最も大きな障害を取り除く」と語っていた。

 この訴訟で広範な苦情を訴えているのは、RealNetworksだけになった(11月16日の記事参照)。同社は、Microsoftがデスクトップでの独占を不正に利用してWMPを普及させ、同社のメディア再生ソフトに損失をもたらしたと主張している。RealNetworksに22日の判決の影響についてコメントを求めたが、本稿掲載時までに連絡が付かなかった。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ