NetBSD/PowerPCで動く二足歩行ロボット――Speecys(スピーシーズ)ロボットキットとは?UNIX USER2005年2月号特別企画より転載(3/3 ページ)

» 2005年01月18日 15時00分 公開
[UNIX USER]
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カーネルチューニング

―― カーネルのチューニング内容について教えてもらえますか?

宮重 通常のカーネルの400倍くらい速くなっていて、ほぼ1ミリ秒の精度になるようにしています。カーネル自体のクロックスピードの定義をチューンアップして、マルチタスクのシェアリング間隔を極端に小さくしています。一般的な方法だと、100ミリ秒くらいにしかならないので、それだとサーボが制御しにくいのです。

―― それだけ切り替えが多いとCPUパワーを使うと思いますが、まだ余裕はあるのですか?

宮重 もうちょっと余裕がありますけど、あまり速くしすぎても(笑)。

春日 実用上は、約1ミリ秒でちょうどいい感じで動きますね。

宮重 リアルタイムカーネルではなくても、いけるかなという感じです。

RPU-1000 プロセッサユニットRPU-100の内部(クリックで拡大)
プロセッサユニットRPU-100仕様
CPU MPC5200(264〜400MHz、PowerPC 603eコア)
ROM FLASH MEMORY 16MB
RAM DDR SDRAM 128MB
OS SpeecysOS(NetBSDベース)
FPGA 各種タイミング生成そのほか
CFスロット メモリカード CF×1、無線LAN(802.11b)用CFスロット×1
Serial I/F RS-232C×1ch
Audio I/F AC97 CODEC対応
Audio コネクタ スピーカ×2、マイク×2
Camera NTSC
表示用LED 単色(色についてはT.B.D)×4
RS485 Serial I/F モータ・センサー類のI/F用×7ch
外部用5V電源 5V×2ch
PWM出力 PWM×2ch(頭部用)
サーバー機能 WWW・FTP・TELNETサーバー
外部寸法(mm) W91×D55(突起物含まず)
電源仕様 DC9.6Vニッケル水素バッテリー

モーション関連ライブラリ

―― モーション関連ライブラリは、歩行エンジンとモーション再生エンジンの2種類ということですが?

宮重 モーション再生エンジンは、モーションエディタで作ったデータを再生するものです。歩行エンジンはその改造版で、歩行しているモーションデータを再生するものですね。

―― 無線LANで通信してモーションデータを送っているのですか?

宮重 いえ、送っているのはコマンドだけです。モーションデータは、CFカードの空き容量部分が約30MBあるのでそこに置いたり、オンメモリで持てるようになっています。そこに、任意の番号のモーションを再生しろといったコマンドを送っているのです。

―― 登録できるモーションデータの数はいくつくらいですか?

宮重 モーションデータは1ファイル当たりだいたい200KBなので、好きなだけ登録できますよ(笑)。

―― タイムスライスはどれくらいですか?

宮重 制御的には、サーボが受け付ける10ミリ秒ですね。ただ、モーションを作るときには、タイムスライスは別にないんですよ。

春日 たとえば、「あるポーズから次のポーズまで10秒で動け」と命令すると、モーション再生エンジンが自動的に補完しながら動作します。キット付属のモーションエディタで手軽に動きを付けられるので、いろんな人に挑戦してみてほしいですね。


 NetBSDベース、PowerPC採用、しかもソフトウェア屋のためのプラットフォーム作りを目指すロボットとなると、興味を持つUNIX USER読者は多いのではないだろうか。スピーシーズのWebサイトに詳細な情報があるので、我こそはという方はぜひ参照してほしい。

 http://www.speecys.com/

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