オープンソース採用で後れを取る英国

オランダの調査機関の仮集計によると、オープンソース製品を採用する地方自治体の割合はフランスが71%、ドイツが68%。英国はこれに大きく劣っている。(IDG)

» 2005年01月25日 15時16分 公開
[IDG Japan]
IDG

 英国の地方自治体は一部の欧州国家よりもオープンソースソフトの採用がずっと少なそうだ。オランダの調査機関の調べで明らかになった。この調査によると、今のところ英地方自治体のうちオープンソースを採用しているのは32%。これに対しフランスは71%、ドイツは68%、オランダは55%だという。

 この数値は、マーストリヒト技術革新経済研究所(MERIT)が行った「FLOSSpols(Free/Libre/Open Source Software: Policy Support)」調査の仮の集計結果で、2004年11月時点の371人の回答を分析したものだと、MERITでFLOSSプログラムのリーダーを務めるリシャブ・エイヤー・ゴーシュ氏は説明している。750人以上の回答を分析した完全な調査結果は2月末に公表されるという。

 この結果は、オープンソースに関して英国の公共セクターが欧州大陸の国家に大きく後れを取っていることを示す最新の指標だ。英政府は公共セクターの調達においてオープンソースをどう考えるべきかを調査したが、その取り組みはドイツ、フランス、オランダと比べると消極的だったとゴーシュ氏。

 政府中心の組織的なサポートがないことは、地域でのオープンソース採用レベルが低いということを反映していると同氏は指摘する。「英政府はFLOSSとオープン標準に関して一貫した政策がないようだ。組織によってアプローチがかなり異なる。ほかの欧州国家がすべて一貫したオープンソース政策を持っているわけではないが、オランダ、ドイツ、フランスはいずれもオープンソースを奨励する国家レベルの政策文書を発行している」

 オープンソースに関する明白なアドバイスの提供を目指す英組織の1つに、OSS Watchがある。先週には同団体の後援の下、カンファレンスが行われた。OSS Watchは情報システム合同委員会(JISC)から資金提供を受けている。JISCは行政機関に情報通信技術ガイダンスを提供し、OSS Watchは高等教育と継続教育にフォーカスしている。

 OSS Watchの広報担当ランディ・メトカーフ氏は、同団体は高等教育と継続教育でプロプライエタリなソフトとオープンソースソフトが混在して使われていることに気付いたとしている。継続教育機関は、コストを理由にオープンソースを選択する傾向があり、高等教育機関では相互運用性が一番の原則であり、コストはその次だという。

 民間セクターでも、オープンソース採用にはいまだに大きな障壁があることが米新興企業SourceLabsの新たな調査で示された。大手Linuxベンダーの努力にもかかわらず、大企業は依然として、習得の難しさやコンポーネントが統合されていないこと、システムの信頼性へのコミットメントに欠けること、ミッションクリティカルなサポートがないことから、オープンソースを敬遠しているとSourceLabsは先週述べていた。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ