ビジネスにおけるソフトウェア開発は、経営やビジネス層からも把握可能な透過的なものでなければならない。Web上で展開するビジネスには、開発者だけではなく経営層などが関わりやすい組織作りが重要だという。
ソフトウェアは、ビジネスにおいて競争力を高める重要なポジションを担っている。アプリケーション開発ベンダーでは特に、企業の方向性を左右する存在となるだろう。そして、開発意志決定には、開発部門だけではなく、他部門からの透過的な組織作りが今後クローズアップされるという。ボーランドからのメッセージは、Webビジネスで重要視される変化追従の企業内変革だ。
同社はこれまでにも、StarTermやCaliberRMによって開発者やプロマネ視点からのチーム連携支援ツールを提供してきた。「ALM」(アプリケーションライフサイクルマネージメント)は、その軸とされたキーワードのひとつだ。そして2005年、新たな「SDO」(Software Delivery Optimization)をキーワードとして掲げ、Webビジネスにおける企業内全体の効率化へと踏み込んでいく。
会見でSDOが掲げられた背景には、Borlandが既報のようにTeraQuest Metricsを買収したことに所以する。TeraQuestは、CMMIやPMO(Project Management Office)支援のベンダーであり、今回の買収によって、ボーランドは開発プロセスとビジネスプロセスの統合を加速する狙いだ。
マーケティング本部長の藤井 等氏からは、SDO実現への課題として、チームメンバー間の意思疎通のギャップ解消、仕様の変化に伴うコントロール性の重視、そして、企業におけるビジネスそのものの連携を高める点が強調された。
「アプリケーション開発の現場では、常に作っているものと必要としているもののギャップが最小でなければならない」と藤井氏。ボーランドが今後リリース予定の新たな製品は、これらを補完することが目的だという。
開発プロジェクトを企業内それぞれの立場で透過的に。その思いは今後、2005年から2006年にかけて3つの製品に集約されていく。
コードネーム「Themis」(テーミス)は、アナリスト、アーキテクト、開発者、QA担当者それぞれの視点で開発プロジェクトを見る製品となる。以降に挙げる2つの製品とは密接に統合されるという。
コードネーム「Hyperion」(ハイペリオン)は、プロジェクトマネージャがプロジェクト全体の可視性を高めるべく前述のコントロール性を高めることが目的とされている。開発過程で発生する仕様変更などの変化にも追従しやすい仕組みが採り入れられるという。
コードネーム「Prometheus」(プロメテウス)は、ビジネスユーザーの視点で開発プロジェクトを把握できるよう可視性を高めるものとなる。日ごろ、WordやExcelなどのオフィスアプリケーションを扱う層が、参加しやすいものになる予定だ。
これらの製品の核には、ボーランドの既存製品と統合することが前提となっており、背後にはCariberなどと連携し、開発ツールとの統合が図られている。また、藤井氏からは、「開発ツール同様にこれらの製品でも特定ベンダーにロックオンしないこと」と強調され、その仕組みを採り入れることが明らかとされた。今回それぞれのコードネームで発表されたプロダクトには、プラグイン、あるいは統合機能の実装で他社製品との協調も可能になるという。
グループウェアとしての側面も見え出すCMMIへの取り組み。ボーランドは開発プロジェクトの効率化をいっそう高めていく。
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