ストレージでも標準化のメリットを――米Dellの技術ストラテジストInterview

米Dellの技術ストラテジスト、SNIAの副会長を務めるマシュー・ブリッセ氏に、ストレージ業界で進む標準化の動きについて聞いた

» 2005年01月27日 19時57分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 SNIA主催により、Storage Networking World 2005 Tokyoが1月25日、26日に新宿のホテルで開催された。同イベントで講演するために来日した米Dellの技術ストラテジスト、SNIAの副会長を務めるマシュー・ブリッセ氏に、ストレージ業界で進む標準化の動きについて聞いた。

 ブリッセ氏は、DellのCTOオフィスのメンバーとして技術の標準化に取り組んでおり、特に、ストレージおよびストレージ管理の分野に注力している。これは、標準ベースの「枯れた」技術を最大限に活用して、低コストな製品をユーザーに提供するDellのビジネスに沿った合理的な役職と言える。

マシュー・ブリッセ氏

ITmedia 現在、米国のストレージ市場におけるトピックを教えてください。

ブリッセ 米国で話題になっているものの1つは、ILM(情報ライフサイクルマネジメント)です。また、SymantecによるVeritas買収など、業界の統廃合にも注目が集まっています。

 もう1つ、大きな動きとしては、標準化団体同士の統合が進んでいることも挙げられます。これは、従来は想像もできなかったことです。標準化団体同士が互いにプロファイルを共有しようする動きがあるのです。また、RFP(Request For Proposal:提案依頼書)の数も増えています。つまり、エンドユーザーからの標準化への要望も強いのです。SMI-S、MMA、iMAなど、ストレージ業界のいろいろな団体がSNIAを背景にして、開発モデルを単独志向から標準志向へとシフトさせてきています。

 結果として、管理機能が豊富になるとともに、さまざまなコンポーネントの相互運用性が強化されます。それがさらに、ストレージネットワーキングソリューションの互換性と管理性を向上させるのです。つまり、ベンダー中立性が高まるわけです。

 そして、もう1つ、Common RAID DDF(Data Disc Format)への期待も高まっています。

ITmedia DDFとはどんなものでしょうか?

ブリッセ DDFは、標準化がどのようにユーザー企業を救うかを示す例です。RAID間の相互互換性がない場合など、RAID構成で使用している製品間の違いによって、ユーザー企業に起こる問題を解決するものです。

 DDFは、RAIDグループ内でデータがどのように分散配置されているかについて記述しており、RAIDグループの各ディスク上に置かれます。これにより、互換性のない構成のRAIDを検知することができるのです。ハードウェアおよびソフトウェアのいずれのRAID構成にも対応することができます。ただし、一部のハイエンドの外付けRAID製品に関しては、適切に機能しないかもしれません。

 現在、DDFの取り組みをリードしているのはDellです。ほかの参加企業としては、Adaptec、Intelなどが挙げられます。各ベンダーのメリットとしては、それぞれの個性や付加価値を残しながら、相互運用性を確保できることです。DDFは、Dellが研究開発により業界の標準化に向けて貢献をしているかを示す一例と言えます。

ITmedia 標準化はDellのビジネスにとっても大きなテーマですね。

ブリッセ デルにとって標準化は余りにも大事なテーマですので、私自身も仕事の半分を標準化への活動に費やしています。さらに、Dellとしては、標準化に要している時間の短縮を図ろうと努めています。標準化を固め、製品化までの時間を短くすれば、より早くコンピュータ業界にメリットを提供できるからです。今現在、標準化までにかかる時間は4年です。それを2、3年というサイクルにしていきたいと考えています。

 業界標準の製品は、物理的なデバイスのみならず、サポートなども含めて、全体的なメリットを提供するのです。

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