次のHP CEOには誰がふさわしい?

元Compaq CEOのマイケル・カペラス氏、非IT業界人、Dell幹部――フィオリーナ氏の後釜をめぐり、さまざまな憶測が流れている。(IDG)

» 2005年02月10日 18時00分 公開
[IDG Japan]
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 カーリー・フィオリーナ氏がHewlett-Packard(HP)のCEO(最高経営責任者)兼会長の座を降りるや否や、同氏の後釜として引き抜かれるかもしれない人物をめぐる憶測が流れ出している。HPは2月9日、同社取締役会は「すぐに」後任探しを始めることを明らかにした。フィオリーナ氏はHPで初めて社外から選ばれたCEOだったが、その後任もおそらくそうなるだろう。

 「HPは誰にCEO就任を頼むべきだろうか? われわれが最初に推す選択肢はHP元社長のマイケル・カペラス氏だ」とMerrill Lynchのアナリスト、スティーブ・ミルノビッチ氏は9日付の報告書で述べている。元Compaq CEOのカペラス氏はHPとの合併後に社長になったが2002年に辞任した。社長の座に満足できなかったためのようだ。同氏は現在MCIのCEOを務めている。

 1999年にフィオリーナ氏を引き抜いた人材スカウト会社Christian & Timbersのステファン・マダー副会長は、HPの次のCEOはカペラス氏のようなIT界の大物ではなく、ほかの業界から来ることになりそうだと考えている。

 HPのCEOにふさわしい経験と組織能力を備えたIT業界幹部をすぐに見つけるのは難しいと同氏は指摘する。「IT業界でこれだけの仕事ができる人物の選択肢は非常に少ないだろう」

 マダー氏は、HPはルイス・ガースナー氏のようなタイプのCEOを探すと予測している。ガースナー氏は1992年、IT業界の経歴を持たずにIBMに入社し、同社を立て直した。同氏はハードで有名だったIBMを、柔軟なサービス提供会社に改革した。

 HPは向こう数カ月以内に新たなCEOを任命するだろうと同氏は考えている。

 「HPは重要な戦略上の問題の解決策を必要としている。同社はいろいろと憶測されていることに気づけずにいる」と同氏。「同社にはガースナー氏のように、すべての第三者に『この戦略に賛成しないならクビだ』と言って軍を率いてくれるような人物が必要だ」

 HPにはまず「HPを経営」できる「実践型の細かい論理学者」が必要になると話すのは、IDCのアナリスト、ロジャー・ケイ氏。

 同氏によると、そのような候補者がIT業界内から出てくる可能性は高く、ライバルのDellは優秀な幹部を輩出する可能性が最も高いという。「HPが求めている人材はケビン・ロリンズ氏だ」と同氏。ロリンズ氏は最近DellのCEOに昇格したため、HP CEOの座に興味を持つことはなさそうだが、Dellにはロリンズ氏の降板を待っていられないかもしれない優秀な幹部がたくさんいると同氏は指摘する。

 「HPはDellの中堅幹部の中から人材を見つけられるかもしれない。Dellは業界で最も多くのCEO候補を抱えた企業の1つだ」(同氏)

 HPの取締役パトリシア・ダン氏は8日、次のCEOは社外から選ばれるだろうと語っていたが、社内にも検討に値する人物が少なくとも2人いる。テクノロジーソリューション部門執行副社長のアン・リバモア氏と、イメージング&パーソナルシステム部門執行副社長のビョメシュ・ジョシ氏だ。

 リバモア氏は23年HPに勤めたベテランで、サービスとエンタープライズシステムを統合した事業のトップを務めている。同氏は1999年に最有力CEO候補だった。同氏が率いるエンタープライズ部門は利益達成に苦労しているが、同氏は社内で高く評価されており、フィオリーナ氏の後継となる可能性があるとアナリストらは指摘する。

 一方ジョシ氏は実績においてリバモア氏を上回っている。同氏は1999年以来、大きな利益を出しているプリンタ部門を運営しているが、リバモア氏と同様、苦戦するかもしれない。「フィオリーナ氏旗下の上級幹部陣は皆、ちょっと堕落しているように感じられる。フィオリーナ氏は壮大な戦略を打ち出し、幹部陣はそれを実現することになっていた。彼らはそれを完全には実行しなかった」

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