BrainShareでNovellがLinuxとアイデンティティーへの注力を明確に、JBossとの提携も強化(2/2 ページ)

» 2005年03月22日 16時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 NovellのLinuxシフトがあまりに唐突だと感じる人も多いだろうが、同社は1990年代前半、AT&TからUNIXを買い取り、NetWareとの統合を図ろうと試みている。「Super NOS(Network Operating System)」と呼ばれた構想だ。同時にクライアントサイドでもLinuxをベースとしたGUI環境を構築する「Corsair」プロジェクトを進めた。Microsoftに真っ向から対抗するNovell創業者、レイ・ノーダ氏の肝いりだった。

 残念ながらどちらのプロジェクトも頓挫したが、後者のプロジェクトからはCaldera Systemsがスピンオフしている。エンタープライズ向けLinuxデスクトップとして「Novell Linux Desktop 9」を提供している同社だが、既に1990年代半ばからその下地があったと言っていいだろう。

ディレクトリ市場を切り開いたノベル

 もちろん、アイデンティティーマネジメントにも同様に10年の長きにわたる歴史がある。NetWareから切り出されたNDS(Novell Directory Services)から始まり、現在のマルチプラットフォームで動作するNovell eDirectoryに至るまで、同社は常にディレクトリ市場をリードしてきた。

 メスマン氏が掲げるアイデンティティー駆動型のコンピューティングは、ユーザーを中心として各種デバイス、あるいはサービスに至るまで、あらゆるIT資産をポリシーベースで管理する戦略的なコンピューティングモデルのこと。企業は高いセキュリティが確保でき、同時に変化に対応できるアジリティも手に入れられるという。

 「アイデンティティーマネジメントこそが、セキュリティの第一歩となる」とメスマン氏。

JBossとの提携強化で基盤整備を加速

 今回、Novellはアイデンティティーによって駆動される企業を実現する2つの基盤を発表した。「Novell Identity Services Foundation」(ISF)と「Novell Application Services Foundation」(IAF)だ。

 ISFは、企業のITインフラのセキュリティを高め、可視化するための技術やコンポーネント。統合化されたスタックとして提供される。

 一方のIAFは、アプリケーション開発プロジェクトのコスト、複雑さ、そして配備までの時間を短縮する標準ベースの技術スタック。NovellはJBossとの戦略提携を強化し、Web Services for Remote Portlets(WSRP)標準に準拠したポートレットコンテナなどのコードやエンジニアリングリソースをオープンソースのJBoss Enterprise Middleware System(JEMS)に寄贈し、JBoss PortalをはじめとするJBossプロジェクトのアーキテクチャーや方向性に関与していくという。

 Novellとしては、2002年半ばに買収したJ2EE準拠のWebアプリケーション/サービス統合プラットフォームである「Novell exteNd」(旧SilverStream eXtend)にJBossのコンポーネントを含むオープンソースの技術を取り込み、「Novell Application Services Foundation」を構成する魅力ある製品に仕立て上げていくのが狙いだ。既存システムのWebサービス化を支援するビジュアル開発環境である「Novell exteNd Composer」は引き続き強みを発揮していくが、「Novell exteNd Application Server」はJBossに置き換えられていくとの見方が強い。

 互いに補完し合う2つの基盤であるISFおよびIAFは、JBossの例にあるように、オープンソースとNovellの商用技術をうまく組み合わせいくのが特徴だ。これらの基盤の技術やサービスは、Novell製品だけでなく、パートナーの製品にも組み込まれていくという。

 会場にはJBossのCEO兼創業者、マーク・フルーリ氏も姿を見せ、「NovellはJ2EE市場にミッションクリティカルで責任ある考え方を持ち込んでいる。われわれはアイデンティティー駆動型のセキュリティ機能をJBossプラットフォームに盛り込めるのを楽しみにしている」というコメントを発表した。

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