サービス競争激化の通信業界を支える――BEAの新ミドルウェアInterview

日本BEAシステムズは通信業界向けのソフトウェア基盤となる新製品「BEA WebLogic Communications Platform」を提供すると発表した

» 2005年03月28日 18時27分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 日本BEAシステムズは3月24日、通信業界向けのソフトウェア基盤となる新製品「BEA WebLogic Communications Platform」を提供すると発表した。

 同製品の導入により、通信事業者は、顧客にサービスを提供するためのアプリケーション基盤を、従来の独自仕様のものから標準技術をベースとした汎用性の高いプラットフォームに置き換えることが可能になる。標準技術を基盤にすることで、その上で稼動するアプリケーション構築に自由度が高まるため、通信事業者はたとえば、APRU(加入者あたりの平均利用額)の拡大を図る新サービスの提供基盤の構築もしやすくなる。また、拡張性も高めることができる。

 ワールドワイドテレコムマーケティング担当ディレクター、クリス・キング氏に新製品について聞いた。

日本、中国を含め短期間で多くの国を訪れたキング氏

ITmedia BEAの通信業界への取り組みについて教えてください。

キング BEAは売り上げの30%を通信業界から得ています。日本でも、KDDIなど大手通信事業者の多くのサービスを支えるシステムの基盤に、われわれの製品が導入されています。

ITmedia 競合他社との差別化のポイントは?

キング アプリケーションサーバとしての基本機能に加え、受発注管理や明細管理、ネットワーク監視を含めた通信業界に特化した機能を提供している点です。現在の通信業界では、携帯電話では第3世代への流れ、固定電話ではIP化という潮流が訪れています。各社は、競争が激化する中で、より充実したサービスをすばやく市場に投入しなくてはなりません。

 WebLogic Communications Platformは、独自仕様のシステムを含めた既存の通信インフラを仮想化技術によりラッピングすることで、標準技術に対応可能なプラットフォームへと再構築することができます。標準技術ベースのプラットフォーム上ならば、新サービスを提供するためのシステムの構築がしやすくなるわけです。結果として、企業は、情報システムの位置づけを、「コスト」から「投資」へと引き上げることができると考えています。

ITmedia WebLogic Communications Platformの特徴は?

キング 今回発表した製品はわれわれが買収した(関連記事)スウェーデンのIncomitの技術がベースになっています。Incomitは、通信業者のネットワーク向けのポリシー管理や、ユニバーサルコネクティビティといった機能の提供に強みを持っていました。

 BEA WebLogic Communications Platformは、「BEA WebLogic Network Gatekeeper」「BEA WebLogic SIP Server」の2製品で構成されています。同製品はシステムの中では、よりインフラに近いネットワークレイヤーと、電子メールやゲームといった具体的なサービスを提供するアプリケーションレイヤーとの間に位置づけられており、両者を効率よく連携させる基盤になるわけです。通信業界特有のネットワーク処理を行ったり、より緻密なアプリケーションプログラミングモデルを提供する上で、こうしたミドルウェアの機能は不可欠の存在です。

 WebLogic Network Gatekeeperは、通信事業者がネットワークリソースにアクセスしたり、コンテンツ課金やモバイル端末の位置情報サービスなどの品質や、パラメータの定義管理、などを行うために利用されます。

 一方、WebLogic SIP Serverは、SIP環境で次世代の通信サービスの構築を図るためのJ2EEベースのアプリケーションサーバです。WebLogic、および、分散トランザクション処理システムではTuxedo上に構築されており、ユーザー企業が自社のネットワークを拡張できるように設計されています。

ITmedia 通信業者は、WebLogic Communications Platformを利用することで具体的にはどんなことができますか?

キング たとえば、VoIPや電子メールなどの集約された音声やデータ、モバイルサービス、デジタルコンテンツなどと、ビデオサービスを単一プラットフォームで統一することが可能になります。それにより、固定とワイヤレス電話の統合サービスや、リアルタイムの双方向サービス、会議用アプリケーションなどの新たなサービスを実現するためのシステム開発が容易になり、コストも低く抑えることができるのです。



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