グループウェアで成功する人、しない人グループウェア戦国絵巻(2/2 ページ)

» 2005年03月29日 09時00分 公開
[ITmedia]
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グループウェアの5大要素と両製品の最大の特徴

 グループウェアを使うことで共有できる情報、しかも確実にビジネスシーンで役立つと思われるものはそう多くない。機能で言えば、「ファイル共有」「掲示板」、設備予約も可能な「スケジュール」、回覧などの含めた「メール機能」そして申請・承認業務のための「ワークフロー」の5つをコアとして、そのほかにプロジェクト管理やモバイル連携などがそれにあたる。

 そして、一般的なグループウェア製品では、こうした機能は名称の差こそあれ、ほぼ基本機能として備えていると考えてよい(ただしGroupBoardではワークフローは実装していない)。各製品のバージョンアップ時の改良点としては、ユーザーインタフェースの改良や、機能の連携・統合、セキュリティといった部分に重点が置かれている。それほどまでに基本機能は熟成されているのである。

 では、両社の強みといえる部分はどこか。誤解を受けることを承知で断言してしまうと、Office 6は「スケジュール機能」、GroupBoardは「Office連携機能」といえるだろう。

意外と使われるスケジュール機能

 スケジュール機能は、グループウェアのなかでもよく使われる機能の1つだ。グループウェアのスケジュール機能というのは、基本的に部署やプロジェクトなどのチーム単位で見た場合に生きてくる。グループ全体のスケジュールを一覧表示したり、ほかのメンバーのスケジュールを登録できるという特徴がある。一覧でスケジュールを確認できることは、「人」の行動そのものの可視化であるといえる。そこに会議室や各種機材といった設備予約、つまり「物」の可視化が加わることで、社内リソースを有効に活用できる状態が生まれるのである。「人は押さえたが会議室が開いていない、前の会議が終わるまでコーヒーでも飲んで待とう」といった極めて非効率な行動はスケジュール機能のほんの一部の機能で避けられるのである。

 スケジュールの基本機能についてはGroupBoardでも当然備えているが、Office 6の特徴として、出張時のホテル予約、路線・地図の確認といった一連の業務が、オプションメニューから簡単に実行できることが挙げられる。こうした外部との連携の強さとして、携帯電話との連携も挙げられよう。「サイボウズいっつもバイル」というiアプリと併用すれば、携帯電話からスケジュールの共有・管理ができる。

 そのほか、日報・週報の作成を簡略化するスケジュールデータのファイル出力やスケジュールの重複などを避ける機能にもOffice 6に一日の長がある。特にスケジュールの重複に関しては、細かく条件を指定してメンバー/設備の空きを調べ、予定登録が行える「スケジュール調整機能」が用意されているほか、ほかの予定がバッティングしているユーザーは「×」印で表示する機能が備わった。GroupBoardではバッティングがある場合、スケジュールのエントリを登録する最終段階でようやく警告を出してくれる。使いやすさでいえばOffice 6のほうが直感的に利用できるように感じる。

 とはいえ、GroupBoardにも特徴的な部分がある。スケジュール機能にワークスペースの概念を導入しているのだ。従来のグループウェアでは、会議などがスケジュールに入ってくると、その議題などを掲示板や回覧板で簡単ではあるが事前に議論するのが通例だ。そこでは事前に会議資料などが掲載されることもある。しかし、掲示板や回覧板でこうした話題をしてしまうと、スレッドとしてはまとまるが、後参照しようとした際に、「いつの会議だったのか」という話になってしまう。得てして情報というのは揮発性が高いものだ。適切な場所に保存して初めてナレッジとなると考えると、ワークスペースの概念は比較的フィットする。

 そこで、スケジュールのエントリ作成時にワークスペースを作成し、そのエントリに関係する情報をそこにまとめようとする方向性が考え出されることになる。これにより、後参照することが楽にできるようになる。

自然な形で使ってしまうOffice連携

 マイクロソフトが提供しているということもあり、GroupBoardの「Office連携機能」はやはり強力だ。グループウェアといえども業務で利用する1つのツールに過ぎない。そうなると、ほかのツールとの連携が求められる。そこで重要なのは、企業において「ほかのツール」というのがWordやExcelなどのOffice製品である可能性が高い、という事実だ。ゆえに、この部分の連携に優れる同製品には高い確率で活躍のチャンスがあるということになる。

 具体的なOffice連携としては、ブラウザからドキュメントを直接開いて編集するほか、Officeアプリケーションから直接ドキュメントをGroupBoardの共有ドキュメント上に保存するなど編集面での連携が多い。ここでも実際の業務で発生する文書などのナレッジを特に意識させることなくGroupBoardに集約させる流れができていることに気づくだろう。そして集約されたナレッジをもとに掲示板などの機能の利用を図る、というストーリーが描けるのはソフトウェアの連携という強みを生かせるマイクロソフトならではの業だろう。

安易に決めるのはまだ早い

 今回は、グループウェアの概要と導入のメリットについて触れつつ、非常に簡単ではあるが2製品の特徴について説明した。しかし実際は、単にソフトの機能の良し悪しだけで導入が決まるということはほとんどない。コスト、メンテナンス、サポート、システム構築など検討すべきことは山ほどあるのだ。単純な機能比較はほかに譲り、ユーザーが最適なグループウェアを選択するためのノウハウを次回以降紹介していこう。

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