止められないDB、知識より経験を求めるOracleユーザー(2/2 ページ)

» 2005年04月01日 10時36分 公開
[谷川耕一,ITmedia]
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 その理由は、GUIベースの管理ツールだ。RACの設定管理は熟練した技術者がバリバリとコマンドラインで作業するイメージがあるが、実際には違う。Oracle 10gからは、RACの構築、運用にもGUIベースの管理ツールを利用する。それにより、大幅に技術者の手間が削減できるのだ。

スポットライトが当たることの少ない管理ツールだが、Oracle 10gで飛躍的に改善された機能の代表例。ご覧のようにGUIで使いやすくなっている

 さらに、講師が事前に十分に内容を検討した結果を踏まえ、未経験者がつまずきそうなポイントについては重点的に指導する配慮もあるが、実際のところ、「そのようなポイントはあまり多くない」と話すのは、講師を務めるオラクルユニバーシティの甲木洋介氏。基本的にはシングルノードでもRAC構成でもないのだいう。

 唯一異なるのは、Cluster Ready Service(CRS)のインストールと設定で、これは、RAC以前のクラスターシステムでは、各ハードウェアベンダーが提供していたクラスターウェアにあたるもの。RACからはこのCRSについてもOracleが提供している。

 実際、クラスターシステムの構築を難しくしていた要因の1つがこの部分だ。各ベンダーごとにクラスターウェアが異なり、ハードウェア、OS、クラスターウェアのバージョンの組み合わせには複雑なものがあった。そのため、事前の情報収集やパッチの入手など手間のかかる作業が伴ったのだ。CRSをOracleが提供することで、特にLinuxのようなオープン環境でのRAC構築の事前準備の手間が省かれ、管理面でもデータベース本体と一貫した作業が行える。

 RACのインストールや設定だけでなく、チューニングの場面でもGUIツールは活躍する。Oracleのチューニングというと、それこそ高度技術が要求されると考えられがちだ。もちろん、極めてシビアな応答速度と信頼性を要求される場合には、経験を積んだ技術者でなければ対応できないものもあるであろう。しかし、ハードウェア性能に即した設定などの基本的なチューニングであれば、今回の講座によって十分身に付けることができる。GUI管理ツールがパフォーマンスに関するボトルネックや問題点を自動的に探し出し、解決方法をアドバイスしてくれるからだ。あとは、そのアドバイスどおりに設定すれば済む。RACの構築から管理の実践を学ぶ今回の講座を、わずか4日という短期間で成功させている要因は、このGUIベースの管理ツールによるところが大きい。

技術教育の現場が変わってきている

 e-ラーニングの進歩、Webや書籍などの充実によって、技術情報源は飛躍的に拡大している。そのため、従来主流を占めていた資格取得のための学習方法は、教室での授業形式からオンラインへとどんどんシフトしている。資格取得のような知識獲得を目的にした場合は、オンラインの学習方法が時間の有効活用やコストの面からも最適だろう。

 しかし、経験を重視したワークショップ形式の講座は、参加者の満足度もかなり高いという。今回の演習コースには2日間の構築コース、4日間の構築・実践コースの2つが用意されている。通常であれば価格の安い2日間コースから席が埋まっていくのだが、より実践的な経験ができる4日間コースから席が埋まっていくというのも興味深い。カジュアルに知識を身につける方法と、実際に触れて経験として必要な技術をじっくり身につける方法の双方が、技術者からは求められているのだ。

 「知識はあるけれどハイエンドな構成はなかなか経験ができない。製品ベンダーの責任として経験する場を提供するのは重要な使命だと思う」と甲木氏。日本オラクルでは、今後も「経験」を重視したワークショップ形式の講座を、市場のニーズに合わせて計画していくという。

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