Microsoftと親しくなったSun、その変化とは?(2/2 ページ)

» 2005年04月04日 21時40分 公開
[IDG Japan]
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 Sunは今年下半期に、「Galaxy」のコードネームで呼ばれる新世代のx86システムの出荷を開始する予定だ。このシステムは、Advanced Micro Devices(AMD)のOpteronプロセッサをベースとする。

 Sunの幹部らによると、これらのマシンは同社の共同創業者であるアンドレアス・ベクトルシャイム氏の設計によるもので、市場に出回っているほかのOpteronシステムとは異なるという。

 SunがOpteronシステムの開発を初めて手がけることに対して、一部の専門家の間には、同社がMicrosoftとOEM関係を結ぶ必要性をますます強く感じるのではないかという見方もある。そうすることで、Microsoftのシステムエンジニアに接触するのが容易になり、Sunのシステム上でWindowsの動作を保証できるよになるからだ。

 Forrester Researchの上席アナリスト、マイケル・グールド氏は、「OEMになれば技術的なメリットがある。Microsoftのサーバ開発チームとSunのハードウェア設計担当者の間には緊密な協力関係がある。その結果として、適切かつ高性能なドライバによるハードウェアのサポートが得られるのだ」と話す。

 「SunはMicrosoftとOEM契約を結ぶだろう」とグールド氏は予想する。

 SunでGalaxyシステムを担当するジョン・ファウラー執行副社長は、そういった見方を否定する。「当社がいつWindowsのOEMになるのかというのは、何度も聞かれる質問だ。だが重要なマイルストーンは既に通過したと私は考えている。なぜなら、われわれはWindowsチャネルをもう実現しているからだ」とファウラー氏は話す。

 ファウラー氏によると、ほとんどの企業ユーザーは既に、Microsoftから直接ライセンスを購入しており、SunのハードウェアでのWindowsのサポートはチャネルパートナーから受けられるので、Sunは自社システムにWindowsを組み込んで出荷する必要がなかったという。

Javaのライセンスにも影響か

 両社の和解によって実現可能になった第2のオプションは、SunのJavaプラットフォームをオープンソースライセンスの下でリリースすることだろう。

 Sunの幹部らは、この件についてあまりコメントしようとしないが、同社の現在の従業員および元従業員によると、Microsoftとの訴訟の副次的効果としてあまり知られていない事実の1つに、Javaのオープンソース化をめぐる真剣な議論が実質的に棚上げされたことがあるとしている。

 2000年から2001年にかけてSunで市場開発ディレクターを務め、現在はBurton Groupにリサーチディレクターとして勤務するアン・トーマス・メーンズ氏は、「Microsoftとの訴訟が続いている間は、SunがJavaをオープンソース化することは絶対にあり得なかった」と指摘する。

 「『オープンソース化するわけにはいかない。基本的にMicrosoftと裁判するのは、彼らがライセンスに違反しているからだ。オープンソースの新しいライセンスを作成すれば、ライセンス契約自体が無効になってしまう』と弁護士らは言っていた」とメーンズ氏は話す。

 メーンズ氏は、Javaのオープンソース化を妨げる唯一の障害として残されていたのが訴訟だったと考えている。「訴訟が終わった今、SunにはJavaのオープンソースを拒む言い訳がなくなった」(同氏)という。

 しかしSunの幹部たちは、決断に踏み切れないでいるようだ。

 Sunは最近、Javaライセンス方式を修正してオープン性を高めたが、今でもJavaライセンシーには特定の互換性テストに合格することが要求される。これはオープンソースとは相いれない制約条件である。

 しかしSunの幹部らによると、こういった相互運用性の強制がなければ、「Write Once, Run Anywhere」(同じプログラムがどこでも動く)というJavaの価値が損なわれる恐れがあるとしている。

 Sunのデベロッパープラットフォームグループのジェームス・ゴスリングCTO(最高技術責任者)は、最近行われたプレス向けテレカンファレンスの中で、「われわれは両方の立場の人々のニーズを尊重しており、オープンソースにできるだけ近いライセンス条件とコラボレーション環境を実現しながらも、そのほかの人々が抱いている相互運用性と互換性への期待も裏切らないつもりだ」と語った。

 ゴスリング氏によると、ユーザーは必ずしもこのプログラミング言語(Java)のオープンソース路線に関心を抱いているわけではないという。「実際、こういったユーザーの多くは、野放図で雑然としたオープンソースの世界に関心がなかったり、反感を抱いたりしている」と同氏は話す。

 レネール氏によると、Sunの開発者は今後もWindowsとの互換性およびWindows管理機能の改善を続けるという。懐疑的な見方をする人々に対して、「技術提携契約はあと9年残っており、その間にやるべきことはたくさんある」と同氏は指摘する。

 「これは長期的な契約だ。単なるお金のやり取りではない」(レネール氏)

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