モロイ氏は「2002年11月に世界に先駆けてセルフチェックインを導入し、2003年6月にはFairmont Hotelとの提携で、ホテルのロビーにキオスク端末を導入する実験サービスを開始した。現在の対象は、市内に2カ所、空港近隣に1カ所あるFairmont Hotelの計3カ所だけだが、今年2005年末までにはほかのホテルとも交渉して導入先を増やしていきたい」とコメントしている。
バンクーバー空港は、カナダ国内でも利用者の多い空港の1つだが、モロイ氏によれば、さらに回転率をアップさせ、利用者のキャパシティを増やしていきたいようだ。その理由は、2010年に同地での開催が予定されているバンクーバー冬季オリンピック。開催までに利用者増に耐えられる環境を整え、オリンピック目当ての旅行客の満足度をアップさせたいという要望がある。
バンクーバーオリンピック開催までまだあと5年近くあるが、今後解決していく必要のある課題はいろいろある。
1つは前述のように、セルフチェックインのメリットを最大限に享受するために、ホテルや街の要所でキオスク端末の設置を進めることだ。また、現在米国政府が各国に対して要請しているパスポートへのバイオメトリクス認証やICチップの導入も課題である。
「US-VISIT」の名称で知られるこの取り組みだが、カナダ政府も協力する形で、国内の空港への展開に向けた話し合いを進めている。パスポートにICチップを組み込み、その中にバイオメトリクス情報を入れることで、前述のチェックインで指紋をスキャナにかざすだけでより安全に素早くチェックインが完了するなど、さらに利便性のアップが期待できる(現在ではクレジットカードを読ませて認証を行う)。
最終的には、RFIDなどの仕組みを組み合わせることで、ゲートを通過するだけで入国管理やチェックインを完了させることも視野に入れていると、前述のモロイ氏は述べている。
こうしたシステムが2010年のオリンピックまでに間に合うかはわからないが、これまでにも先進的な取り組みを続けてきたバンクーバー空港だけに、世界に先駆けたシステムの導入に夢が膨らむ。
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