オープン化の波に乗り、IAサーバ普及の勢いはさらに増すばかりだが、その一方で「64ビット化 時期尚早論」も根強い。IDF Japan Spring 2005のために来日したタルウォーカー副社長に話を聞いた。
圧倒的な低価格を武器にインテルアーキテクチャが雪崩を打ってデータセンターに押し寄せている一方、フラグシップであるItanium 2への悲観的な観測は後を絶たず、「64ビット化 時期尚早論」もしばしば耳にする。しかし、デジタル・エンタープライズ事業本部長を務めるアビ・タルウォーカー副社長は、RISCサーバのオルタナティブとしての需要は現実のものであり、数年後には汎用コンピューティングの領域でも64ビットサポートが必要とされるようになるとみる。「Intel Developer Forum Japan Spring 2005」のために来日したタルウォーカー氏に話を聞いた。
ITmedia オープン化の潮流もあり、IntelのプロセッサはRISCなどの牙城だった企業のデータセンターに食い込み始めています。しかし、Itanium 2とEM64T(Extended Memory 64 Technology)搭載のXeonが並立するなど、一部には混乱もあるように思えます。
タルウォーカー 世界のサーバ市場を金額ベースで見た場合、RISCサーバやメインフレームが半分を占めています。それらは基幹業務、ビジネスインテリジェンス、データウェアハウスなどの用途に使われ、プロセッサ、OS、そしてアプリケーションのほとんどすべては64ビットです。ここをオープンプラットフォームに移行したい企業のために、われわれはItanium 2を用意しており、例えば、富士通からはPRIMEQUESTのようなサーバが提供されています。この領域では、32ビットに逆行することはあり得ません。64ビットへの需要は既にあります。
一方、サーバ市場の半分を占めるに至ったIAサーバが稼動するアプリケーションは、ファイル/プリントサーバから始まり、Webサーバ、アプリケーションサーバ、あるいはデータベースサーバの一部などで、今のところそのほとんどは32ビットです。
ITmedia そこでは64ビット化の需要はまだない?
タルウォーカー フロントエンドのWebサーバを例にとっても、データは増加の一途をたどっており、その処理のために64ビットメモリアドレスが必要となり始めています。しかし、大半は今すぐ64ビットを必要としているわけではありません。3年から5年というレンジで時間はかかるかもしれません。しかし、これまでにも常にプロセッサが先行し、OSやアプリケーションが追いかけてきました。ネットワーキングやストレージのIHVパートナーらとドライバの開発も進めていかなければなりません。Intelとしては、供給サイドのエコシステムを構築し、エンドユーザーが必要としたとき、すぐにアクセスできるよう、64ビット化されたスタックを整備していきます。
ITmedia Intelはプラットフォームとしての進化を強調し始めました。かつてはチップセットのメーカーも存在しましたが、今は主要なコンポーネントがすべてIntelから供給されます。狙いは何でしょうか?
タルウォーカー われわれの戦略が進化しているということです。ご存じのようにIntelはメモリから始まり、CPUへとビジネスを拡大させてきました。単なるプロセッサの周波数を超えて、プラットフォームとしての価値を提供し始めている背景には、もっとエンドユーザーのニーズを理解して、それにこたえたいという考え方があります。
例えば、今ITマネジャーは、セキュリティに頭を悩ませ、TCO節減という課題も抱えています。単に周波数だけではありません。彼らの課題を理解し、解決し、もっと高い価値をプラットフォームによって提供していきたいのです。
またIntelは、Centrinoでプラットフォームアプローチを最初に採用しました。この例が分かりやすいので説明しましょう。
出張の多いビジネスマンは、ワイヤレス接続、長時間のバッテリー駆動、小型軽量を求め、それでいて性能の妥協はしたくありません。彼らのニーズを形にすべく、Intelはプロセッサだけでなく、WiFiにも多額の投資を行い、バッテリーメーカーやOEMと一緒になって開発を進めました。また、マーケティング活動への投資も行いましたし、ホテル、空港、カフェなどと協力し、アクセスポイントの整備にも努めました。Intelは今後、こうした全体的なアプローチを企業のデスクトップやサーバでも採用していきます。
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