グループウェアの導入と運用管理にまつわるエトセトラグループウェア戦国絵巻(2/2 ページ)

» 2005年04月12日 10時00分 公開
[ITmedia]
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連携機能

 この4月から「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)が施行されたことで、セキュリティにも今まで以上に注意を払う必要があることは言うまでもない。社内のPCを持ち出すことも禁止になっていくことが予想される状況で、グループウェアに期待される機能としては、携帯電話などのモバイル機器からアクセス可能にすることが挙げられる。こうした機能は営業のため外出しているビジネスマンにとってはぜひ実装されてほしい部分である。

 両製品のモバイル対応を見比べると、Office 6が一歩リードしていると言って良いだろう。Office 6の場合、モバイル連携は「サイボウズ Office 6 モバイルオプション」として用意されている。オプション扱いであるため余分なコストはかかることになるが、メニューとしてはひととおりそろっているので必要に応じて導入を検討できる。

 一方、GroupBoardのモバイル連携はやや心もとない印象がある。というのは、Webページなどを見る限り、Office 6ほどこの部分がユーザーメリットとして掲げられていないように思えるからだ。また、現時点でGroupBoardでモバイルアクセス機能を利用する場合の動作確認済み携帯電話機種一覧を見ると、ドコモであれば504シリーズが、VodafoneであればJ-SH52しか対応していない。実際にはこれ以外の機種でも動作するのだろうが、このあたりの検証が進んでいないのは、日本市場の特殊性を考慮して作られたはずの製品としてはツメが甘いと言わざるを得ない。

 なお、Office 6がモバイル連携に優れているとはいえ、携帯電話からは利用できない、もしくは非常に使いづらい機能というものが存在するケースがある。積極的に使うことが想定されている場合には、利用できる機能はしっかりとチェックするべきである。

 あくまで簡単に導入できることをメリットとしている両製品では、他社製品との連携といった部分について、多くは期待できない。もし、ほかのデータベースとの連携やLDAP連携が必要ならば、「サイボウズ ガルーン」など別の製品を選択すべきである。

 他社製品との連携については際立った差はないとはいえ、(自社製品である)GroupBoardとOffice製品との連携は非常に強力である。現実的には、日常業務でWORDやEXCELなどが介在しないケースのほうが少ない。業務上利用する文書などを「.doc」で用意していることも珍しくないだろう。そういった情報を共有しようというグループウェアであればこそ、Office製品との連携に優れるGroupBoardは大きなアドバンテージがあるといえる。業務の流れを変えることなく、スムーズな連携が可能になるという意味ではGroupBoardが圧勝していると言っても良いだろう。

積極的にユーザーの要望を取り入れる「Webパーツ」

 カスタマイズの部分についてもGroupBoardに軍配が上がるかもしれない。ここでいうカスタマイズ性とは、ユーザーが画面レイアウトなどを変更するなどの部分ではない(その程度はどちらも実現している)。機能の名称などを任意の文字列に変更できるなどの細部のカスタマイズが可能なのもOffice 6には見られない特徴であるが、GroupBoardで興味深いのは「Webパーツ」を利用することで、機能を拡張できる点だろう。この点においては、ユーザーの声を積極的に取り入れているMicrosoftの姿勢も評価されるべきである。

 Webパーツを紹介しているページでは、デジタル時計など特定用途でしか使わないようなものもあるが、「備品管理」や「取引先リスト」など、業務効率を高めてくれるパーツがダウンロード可能になっている。現在もユーザーからの要望を受け付けているので、今後、その数は増えていくことは間違いない。加えて、業種別に画面レイアウトのテンプレートが用意されているのも評価できる。

事前のテスト導入は必須

 GroupBoardもOffice 6も、サーバ側のWebサーバにWebブラウザ経由でアクセスするWebアプリケーションであるという点では共通している。異なるのは、データベースの部分であろう。

 そもそもこの種のシステムが遅くなる原因はデータベースとのやり取りで生じるオーバーヘッドが主な原因である。Office 6の場合、Webアプリケーションでの利用に特化させた独自のデータベースエンジン「CyDE」を実行ファイルに内包させている。このことはデータベースにアクセスするために別のプロセスを走らせる必要がないので、動作が軽快なものになっている。

 一方、GroupBoardの場合、データベース部分にはSQL Server 2000またはMSDE(Microsoft SQL Server 2000 Desktop Engine)を利用している。データアクセスのプロセスを生成するため、CyDEと比べると単純なパフォーマンスの面で若干不利になるかもしれない(性能はトータルなシステムで考えるべきではあるが)。

 SQL Server 2000のデータベースエンジン部分だけを提供するMSDEはWSSに含まれるので、その気になればWindows Server 2003とGroupBoardでOffice 6に劣らないものを構築できる。ただし、MSDEを使っている場合、サイトの全文検索ができないなどの制限も生じてくるので、コンテンツが充実すればするほど、ユーザーはSQL Server 2000を利用する必要性を感じることになることが予想される。このため、新規導入であれば(SQL Server 2000を含む)Windows Small Business Server 2003のPremium Editionあたりを選択するのが賢明かもしれない。

 もし現在Windows Server 2003をお使いであれば、MSDEと組み合わせてテスト導入することを強くお勧めしたい。テスト導入で運用管理の工数を正確に見極めるのはかなり難しが、本当にSQL Server 2000が必要なのかどうかといった部分は見えてくるはずである。もちろんOffice 6についてもテスト導入をすべきであるのは言うまでもない。


 次回はこの両製品のコスト比較を行っていく。実際にユーザーの声を聞くと、一時的なプロジェクトでグループウェアを使いたいという声も少なくない。そういった場合のコストはどうなのかなどを考えることで、両製品の雌雄を決することができるだろうか。

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