Sun Java Enterprise Systemの新しい価格と機能

JES Release 3は従業員1人あたり140ドルに値上がりしたが、「製品が追加されたことが値上げの正当な理由になる」とSunは主張している。(IDG)

» 2005年04月21日 19時43分 公開
[IDG Japan]
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 米Sun Microsystemsは4月19日、Java Enterprise System(JES)のアップデートをリリースしたことを発表した。このアップデートは最新のアプリケーションサーバを搭載し、HP-UXとWindowsへのサポートが追加されている。さらに従来版より多くのSun製品のライセンスが付属し、価格は従業員1人当たり140ドルに値上がりした。

 同社はソフトの追加と新しいプラットフォームのサポートが、JESの採用拡大に向け弾みをつけると期待している。JESは同社のアプリケーションサーバ、ディレクトリサーバ、ポータルサーバなど十数のコンポーネントを統合したスイート。同製品はIBM、BEA Systems、Oracleが提供する同様の「プラットフォームスイート」から市場シェアを奪うのに苦労してきた。

 JES Release 3を購入すると、通常は別個に価格が付けられているSunのIdentity Manager、N1 Grid Service Provisioning System、Portal Server Mobile Access、Java Studio Enterprise製品のライセンスが付いてくると、JES担当グループマーケティングマネジャー、デボラ・ウィリアムズ氏は説明する。これらの製品はこれまでJESスイートには統合されず、別個に提供されてきたという。

 Release 3の新機能としては、最新版のJ2EE 1.4をサポートするSunのアプリケーションサーバのエンタープライズエディションと、アプリケーションの可用性を向上させる幾つかの機能が加えられている。JES Release 2には、アプリケーションサーバの標準エディションが付属していた。

 Release 3は既に、Solaris 10を含むSPARC版とx86版のSolaris、Linux向けバージョンがリリースされている。ウィリアムズ氏によると、4〜6週間以内にHewlett-Packard(HP)のHP-UXとMicrosoftのWindows XP/2000向けのバージョンが提供開始される。

 SunはJESをサブスクリプション制で販売しており、価格は組織の全従業員の数によって決まる。Release 2は従業員1人当たり年間100ドルで、開発者向けスイート「Java Studio Enterprise」には追加料金がかかった。JES Release 3は1人当たり140ドルで、Java Studio Enterpriseが含まれる。さらにSunの無償ビジュアル開発ツール「Java Studio Creator」もついてくる。

 「これらの追加製品の価値が、値上げの正当な理由になると考えている。これらは、特にIdentity Managerは多数の顧客が採用に関心を持っている製品だ」(同氏)

 JESはこのところ売れ行きがやや緩やかだ。Sunは先週の決算発表の際、JESのサブスクリプション登録基盤が1〜3月の間に1万5000件増えただけだったと報告した。1年あまり前に立ち上げられて以来、登録基盤は合計で43万3000件となっている。

 Sunのミドルウェアの展望に関して、アナリストの間では意見が分かれている。

 Sunは買収した企業を最大限に活用してこなかったし、製品マーケティングもお粗末だったためライバルに後れを取っていると、Forrester Researchのアナリスト、ヘンリー・ピレット氏は指摘する。同氏は、JESの顧客は一人も知らないと話している。アプリケーションの開発・統合やポータル構築のための製品を統合するトレンドにおいて、Sunはリーダーとは見なされなかったと同氏。競合他社のミドルウェア製品は以前からWindowsとHP-UXをサポートしてきた。

 「Sunがソフトを管理するやり方に少々がっかりしている」とピレット氏。

 RedMonkの主席アナリスト、ジェームズ・ガバーナー氏は、もっと楽観的だ。JESの価格モデルは比較的新しく、同社はいまだに製品の価格設定とパッケージ化について最適の方法を考えているところだと同氏は言う。同社はまだ、Solarisの強みを生かしてインフラソフトの販売を増やすことはできないかもしれないという。

 「これには否定的な見方がなされたが、製品の観点から見ると、次第に十分だと考えられるようになっている」(同氏)

 Sunは2月に、特定業務向けに設計されたJESスイートのサブセットを幾つかリリースし、JESのフルバージョンの値上げの影響を抑えたとガバーナー氏。同社は、これらの「Java System Suite」(と同社は呼んでいる)が、同社のミドルウェアを使ったことがなく、JESのすべてを買うのは嫌だという企業にとって「進入ランプ」になると期待している。

 「これはまだ比較的新しい価格設定アプローチであり、少なくとも、企業はほかのベンダーと交渉する上でより充実した情報を得るために注目すべきだ」(同氏)

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