素人でも見誤らないグループウェアのコスト算出法グループウェア戦国絵巻(2/2 ページ)

» 2005年04月26日 14時55分 公開
[ITmedia]
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分かりやすい料金形態のOffice 6

 一方、サイボウズは比較的シンプルな料金形態となっている。今回の取材にあたって、サイボウズにメールにて前述の条件を伝えると、以下のような見積もりが返ってきた(いずれも税別価格で表示)。

製品/サービス 価格
Office 6 基本セット(100ユーザー) 38万円
リモートサービス初期費用 3万円
リモートサービス スタンダード
月額(20ユーザー)
1万3800円/月
合計 42万3800円

 リモートサービスを年額で契約する場合は、月額の場合と比べて少し料金が割り引かれ13万8000円(月額の10カ月分)となる。この場合でも合計は54万8000円だ。リモートサービスと似たようなものとして「サイボウズ Office 6 ケータイ」がある。両者の違いは、携帯電話やPDAからOffice 6のデータを見やすくしているのが「Office 6 ケータイ/ポケット」というアプリケーションで、その携帯電話、PDAから簡単にアクセスできる環境を構築できるのが「Office 6 リモートサービス」である。つまりアプリケーションとインフラとの違いというわけだ。Office ケータイ/ポケットを契約していなくてもリモートサービスを契約していればOffice ケータイの機能は利用できる。しかしこの場合、Office ポケット(PDAでのアクセス)の機能は使えない。また、参考までに書いておくと、「サイボウズ Office 6 ケータイ/ポケット」は基本セットのユーザー数と同じ契約が必要なので、20ユーザーしか使わない場合でも100ユーザー版(19万8000円)を購入しなくてはならない。これらのことから、自社でアクセス環境を構築したい特別の事情がなければ、実際のユーザー数で契約できるリモートサービスで決めてしまってもよいと言える。

 一見分かりやすい価格体系と思われたサイボウズも、実際の利用を想定してコストを出していくと、基本セットだけでは物足りない部分が出てくる。オプション扱いの「サイボウズ Office 6 ワークフロー」「サイボウズ Office 6 報告書」「サイボウズ Office 6 プロジェクト」「サイボウズ Office 6 ケータイ」「サイボウズ Office 6 ポケット」は、「サイボウズ Office 6 基本セット」と同じユーザー数でのご利用が必須であるため、100ユーザーを想定した場合、これらを加えていけば、19万8000円ずつ追加されていくことになる。非常に「うまい」ビジネスであると関心する一方、こうしてみてみると、これまでサイボウズが有利である根拠として挙げていた機能上のポイントの幾つかは別料金であることから少し魅力が半減してしまうのも事実である。「サイボウズ Office 年間継続サービス」などを利用すれば、バージョンアップ時のリスクヘッジになるので、実際の利用にあたっては同サービスを検討しておくべきである。

安くなる構成を求めて

 こうして比較してみると、OSとハードをGroupBoardと共通とするなら、意外とサイボウズは高いと考える方もおられることだろう。ただし、今回はWindows Server 2003をベースのOSと想定しているので見失いがちだが、Office 6の動作環境としては、Windows系のOS以外にもFreeBSDやSolaris、Linuxも利用可能である。FreeBSDやSolarisは「サイボウズ Office 6 リモートサービス」に対応していないので除外するとしても、Linuxを適用すれば、面倒なCALなどの縛りから解放されるので、うまく進めれば大きなコストメリットを生んでくれることになる。

 加えて、前回も触れたように、GroupBoardはデータベース部分にSQL Server 2000またはMSDE(Microsoft SQL Server 2000 Desktop Engine)を利用する。MSDEはWindows Server 2003(実際にはWSS)に含まれるため、MSDEを使うならデータベースの部分で余分なコストはかからないが、MSDEはデータ検索の機能を備えていないなど、実運用で利用するのは少し心もとない。このため、SQL Server 2000を利用することをお勧めしたい。このあたりは独自のデータベースを内包するOffice 6がコスト的に有利だ。

 そして、特筆しておきたいのは、Windows Server 2000を現在利用しているユーザーについてである。GroupBoardの動作環境がWindows Server 2003であるため、Windows Server 2000からの乗り換えを検討しているかもしれない。しかし、Windows Server 2003を利用するには、Windows Server 2003用のCALが新たに必要となる。グループウェア以外の部分でも乗り換えの必要性を感じているならまだしも、そうでなければ過剰投資と言われかねない。

 仮にGroupBoardがWindows Server 2000をサポートしていたならば、Windows 2000 Serverにダウングレードして従来の環境に追加しても、そこで2003のCALが必要になることはないので既存の資産を生かした形でGroupBoardを導入できる。そうすれば、多くのケースでGroupBoardにする意義が出てきたのだが、悲しいかな現実はそうではないので、現在Windows Server 2000を使っているなら、基本的にはOffice 6を選択するのが賢明だといえる。つまり、Windows Server 2003をプラットフォームとするGroupBoardに対し、Windows 2000 Serverでも動作するOffice 6はCALの縛りを回避できるということだ。

 これらを考えると、Office 6はGroupBoardと比べて比較的安価にシステムを構築することもできるということは理解しておいてほしい。


 まとめておくと、コストを削減できるポイントとしては、

  • クライアントのCAL
  • データベース部分
  • (Office 6に関しては)オプションをどの程度選択するか

あたりが挙げられる。また、最小構成で構築するなら、機能的な面では両社はそれほど変わらないといえる。

 もうお分かりだろうが、すでにWindows 2003 Serverを利用しているなら、GroupBoardだけを購入すればそれなりにグループウェア環境が構築できる。その場合のコストメリットはOffice 6をしのぐと考えて良い。しかし、Windows 2000 Serverなどを利用している場合は、GroupBoardの導入が場合によってはCALのアップグレードを必要とする場合もあるため、相当のコストになることもあるので、既存環境との兼ね合いを十分に考えて選択する必要があると結論づけられる。

 さて、次回はまとめとなる。これまでの内容に加え、それぞれの将来性などを考慮し、雌雄を決するときがきたようだ。この記事を執筆中、今後の動向を大きく左右すると思われる話もサイボウズ側から聞こえてきているが、これについては確認が取れるようなら次回紹介できるかもしれない。

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