NTTデータ、物流大手とSCM合弁を設立

NTTデータと鈴与は4月28日、SCM事業を共同展開する合弁会社を設立する。ITと物流、両社のノウハウとスキルを持ち寄り、製造業向けSCM事業を拡大する。

» 2005年04月28日 19時06分 公開
[ITmedia]

 NTTデータと物流大手の鈴与(静岡市)は4月28日、SCM(Supply Chain Management)事業を共同展開する合弁会社を設立することで基本合意したと発表した。NTTデータは製造業向けシステム市場の開拓を進めており、鈴与の物流ノウハウを活用することでグローバルに対応できる高度なSCMを提供する。

SCM合弁会社設立を発表したNTTデータ・宇治常務(左)と鈴与・鈴木社長。鈴与はサッカーJ1・清水エスパルスのオーナー企業としても知られる

 新会社「NTTデータ・ベルSCMソリューションズ」を7月に設立する。資本金1億円のうちNTTデータが51%を出資して連結子会社化。鈴与と鈴与グループで物流と情報システム構築を展開する鈴与シンワート(東証2部上場)が合計49%を出資する。NTTデータと鈴与からそれぞれ代表取締役を派遣し、SEら約30人体制でスタートする。

 またNTTデータは、鈴与シンワートが実施する第三者割当増資を引き受けて資本参加する。出資比率は6.9%となり、出資額は1.8億円になる見込み。

 新会社は、需要予測や適正在庫分析、物流業務などを連携させたSCMシステムの構築を請け負う。鈴与グループの物流網とロジスティクスシステム構築スキル、NTTデータのSIノウハウを融合し、世界規模で上流から下流まで対応できるSCMシステムを売り込む。

 NTTデータは法人市場の新規開拓を掲げ、特に重点分野としてエレクトロニクスや自動車、医薬など製造業向けSCM事業の拡大を図っている。鈴与は静岡・清水港の廻船問屋をルーツに持つ物流の老舗だが、「これからの物流は情報がカギになる」(鈴与の鈴木与平社長)と見て情報システム事業にも注力してきた。

 SCM導入による生産−物流−販売の全体最適化は効果が高いが、導入の成功には情報システム開発力に加えロジスティクスとの高度な連携が必須だ。両社でノウハウとスキルを持ち寄り、優れたSCMを提供することで、NTTデータは製造業向けビジネスの拡大を、鈴与はITノウハウの強化と物流サービスの高付加価値化を図っていく。

 当面は鈴与グループや鈴与の荷主向け業務を請け負い、初年度は25億円の売り上げが目標。SCM構築の本格展開で5年後に約50億に倍増させるのが目標だ。

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