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» 2005年05月16日 22時25分 UPDATE

欧州オープンソース動向第5回:移行の現場から(1)

プロプライエタリなソリューションからOSSベースのそれに移行する機運は確実に高まっているが、欧州は日本の数歩先を行っている感がある。移行の際に注意することなど注意すべきポイントを考える。

[末岡洋子,ITmedia]

ソフトウェア業界に顧客主導をもたらす

 仏IdealxはOSSベースのソリューションを提供するベンダー。PKIソリューションの「IDX-PKI」などをラインアップに揃えるが、昨年来急速に伸びているのがWindowsからの移行ビジネスだ。同社はこの機運の高まりを感じとり、「IDX-Infra」という移行パッケージを作成、現在大きな事業に成長している。

 すでに、大手小売業の仏Auchanや仏Decathron、仏郵政省系子会社のChronopost Internationalなどの移行事業を手がけてきた。米Hewlett-Packardや米Novellと提携したことで、同社やオープンソースへの信頼が向上し、大規模な案件が増えたという。

 同社社長のオリビエ・ギルバート氏は、OSSを「クライアント/サーバ、インターネットに続く革命的な事象」と位置づける。「ほとんどの業界は『お客様は神様』がルールだが、情報サービスはサプライヤが主人という特殊な業界。これまで顧客は黙ってサプライヤの言うままの条件を飲んでいたが、OSSはこの流れを変える。これは逆らい難い自然の流れだ」とギルバート氏。

 もちろん、コスト削減は大きなメリットだ。「われわれのPKI製品はプロプライエタリな製品の約5分の1の価格、しかもライセンスはなし。ユーザー数の多い大規模なシステムほどメリットが多く、わが社の製品に乗り換えた顧客からは、“これまで、同等の機能に対してどうしてあんな高い料金を支払っていたのだろう”という感想をもらう」とギルバート氏は言う。

ギルバート氏 「2年ほどでデスクトップでの勢力図に変化があるはず」とギルバート氏

 ギルバート氏は1〜2年後には、インフラでOSSの占める割合は半分に達するだろうと見込む。「デスクトップでも勢力図が少しずつ塗り換わっていくだろう」と予想する。

 移行に当たっては、まず経営陣が戦略としてOSS採用を決定、ロードマップを作ってトップダウン的に進めていくことが重要という。もちろん、同社のような専業ベンダーの支援は不可欠。同社はオープンソースソフトウェアを指南するガイドページによる情報提供、顧客間の情報交換の場となるユーザークラブの運営なども行っている。

7万台のPCにOpenOffice.orgを、仏警察

 仏国防省下の警察組織、Gendermerie Nationaleは現在、全PCをMicrosoftのOfficeからOpenOffice.orgへ移行させているところだ。2004年1月にパイロットとして160台でOpenOfficeを実装した後、移行を決意した。同年の6月より移行作業を開始し、2005年1月末時点で35万台の移行が完了した。今年夏までに全PCを移行させる計画だ。

 GendermerieでITを担当する、ニコラス・ジロー大佐は「年間200万ユーロのコスト削減になる」としながらも、移行の理由を「コスト効果だけではなく、実際的な解決策でもあった」と説明する。他の省や組織とディレクトリや認証の互換性を持たせる、セキュリティの改善、という点でもオープンソース導入のメリットは高い。ジロー氏によると、Gendermeriでは報告や承認のために内部や外部とやりとりすることが多く、そのプロセスは500種類以上もあるという。4年前からこれを簡素化する方法を探っており、今回内部でオープンソースのeC@REという簡略プロセスを作成、最終的には開発言語はVisual BasicからJavaに、システムもLinuxベースにする計画だ。いま現在「Outlook」を利用しているカレンダー機能などもオープンソースへ移行することになる。

 次回も引き続き移行に関する欧州の動きについて取材していく。

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